Circulation - Camera

巡る季節を写真に残す! ~Since 2017-05-01~

Zマウントマイクロレンズ、NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sをレビューする!

こんにちは、Circulation - Cameraです。2021年6月にNIKONのZマウント用のマイクロ (以下マクロ) レンズがやっと発売されました。焦点距離50mmのレンズと105mmのレンズが発売されましたが、私は105mmの方を購入しました。

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105mmを選んだのはNIKKOR Z 50mm F1.2/Sを所有しているので50mmだと焦点距離が被ってしまうからという理由とMakro Planar 100mmで中望遠マクロレンズの使い勝手の良さを実感しているからという理由です。テーブルフォトとかには50mmの方が良いんでしょうけどね。まぁ、、、

私が105mmにした理由なんてどうでもいいですね💦

そんなことより、発売日に入手して何回か撮影に連れ出してみてかなり使い勝手の良いレンズだと感じましたのでレビュー記事を書いてみることにしました!

結局4000字近くなってしまいましたが、興味がございましたら時間のある時にでも読んでやって下さいませ m(_ _)m

~1:1マクロ~

1:1マクロというのは被写体をどれだけ拡大させられるかという指標です。1:1というのは「撮像素子と同じ大きさの被写体を画面いっぱいに写せます」という意味です。例えばフルサイズだと撮像素子が36mm×24mmですので直径26mmの500円玉がギリギリいっぱいまで写せます

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1:1マクロというのは現在のマクロレンズの基本なので特にサプライジングでもないですが必要十分といったところでしょう。ちなみに被写体に寄れば寄るほど最小F値は大きくなります。これを実効F値と言います (実効F値の細かい説明は省きますが気になる方のために説明記事リンク貼っておきます)。

このレンズの最小F値は2.8ですが、最短撮影距離 (= 29 cm) 付近ではF 4.5になります。

 

~手振れ補正~

手振れ補正もこのレンズには搭載されています。4.5段の手振れ補正ということですが寄れば寄るほど手振れは起こりやすくなります。なので自分のレンズが近接撮影でどれだけ手振れ補正が効くのかは事前に知っておくべきです。試してみましょう。

フクロウの置物の右の眼にピントを合わせています。

EVFではなくライブビュー撮影です。

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こちらは一般的に手振れしないとされる「SS = 1/焦点距離 sec」すなわちSS 1/100 secで撮影したものです。ここからSSを段々と下げていきます。

下の写真はSS 1/50 secで撮影したものとSS 1/25 secで撮影したものです。1/25 secだと何回かに1回ブレることがありました。

<1/50 sec>

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<1/25 sec>

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そしてこちらがSS 1/10 secで撮影したものです。目の部分を拡大していますが、2回に1回くらいはブレてしまう感じでした。

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SS 1/10 secで2回に1回くらいぶれちゃう

初代Z6でこれなのでZ6ⅡやZ7Ⅱなど新しい機種ならボディ内手振れ補正も進化してより高度な手振れ補正が期待できるかもしれませんが、初代Z6との組み合わせなら今回の近接撮影のテスト結果ではSS 1/50 secくらいが無難という感じがしました。ちなみにインナーズームで被写体に近寄ってもレンズは伸び縮みしません。

 

オートフォーカス

オートフォーカスはまぁまぁ早いです。無限遠と近距離をいったりきたりさせるような場面や下のように単色に近い被写体を撮らせると迷ってしまうことはあります。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 2200,F 3.3, SS 1/400 sec

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そんなときにはフォーカスリミッターをonにしたりオートフォーカスポイントをPINに変更してよりフォーカスポイントを限定するといいでしょう。

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⭐︎2021年11月加筆:またはマニュアルである程度合わせて細かい調整はAFに任せると手っ取り早いと感じました。

 

 

~解像力~

ePHOTOzineに解像度のテストチャートがありました (結果はZ7Ⅱにマウントしてテストしたものです)。

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LW/PH > 3500は際立った解像度を示します。解放F2.8~F16くらいまでcenterもedgeもそれをキープしていますから解像度的には何の問題もなさそうですね。

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こちらはF2.8で撮影した写真。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 2.8, SS 1/500 sec

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拡大してみますが布の質感しっかりしていますね。

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別の作例を。蓮の葉についた水滴を拡大してみます。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 3.0, SS 1/640 sec

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~ここまでのレンズ特徴まとめ~

・1:1マクロ

・最短撮影距離での実効F値は4.5

・手振れ補正

 → 近距離撮影ではSS 1/50 secくらいまでは安心できそう

オートフォーカスは良好

・解像度はよさそう

 

~ボケは?実際の作例を!~

ここまでいろいろと書いてきましたがマクロレンズの大きな特徴は「寄れること」でありボケの性質は極めて重要です。ボケを客観的指標で評価することは難しいですが、このレンズは十分にボケもきれいだと思います。作例を挙げていきます。

JPEG撮って出しです。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 2.8, SS 1/640 sec

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Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 3.0, SS 1/2000 secf:id:tatsumo77:20210726232702j:plain

上の写真は電車の架線をぼかしていますがいわゆる二線ボケは全く見られませんね。

2021年11月追加:

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S (少しトリミング), ISO 400, F 8.0, SS 1/1000 sec

154のコピー

こんな意地悪な背景でも全く問題なし。そして解像感・立体感も素晴らしいのでクリックしてアップしてみてやってください (この写真はFlickrでアップしていますので)。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 2.8, SS 1/2000 sec

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いかがでしょう?鳩の解像感も良いですし、背景のボケに偽色のような色づきも目立ちません。ホームページでも色収差は注意深く除去していることを強調していました。

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今時、EDレンズを使用していることは珍しくもなんともないですが色滲みはあとからRAW現像とかで処理しようにもなかなかできませんから、その点に気を使ってくれていることは単純にうれしく思います ^^

ePHOTOzineのテストでも「倍率色収差は中央はほとんどゼロで、隅でも0.5ピクセルを大きく下回る。実写では倍率色収差はほとんど見られず、後処理での補正は必要ないだろう。」と称賛されていましたね。

 

~作例の続き~

作例の続きに戻ります。花手水に青紅葉が浮かんでいました。

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浮かんでる青紅葉はこんな感じです。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 200, F 5.6, SS 1/2000 sec

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F 2.8とF 8.0で撮影してみましたのでボケの感じとか見比べてみてくださいませ。

<F 2.8>

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<F 8.0>

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さすが105mmのレンズだけあって解放ではボケの量がすごいですね。偽色は目立たず、がさつきも少ないように思います。ただ、解像感のしっかりしたレンズなので「とろける」というほどではないかな?

逆に中望遠ですから被写体に寄ったときにはF 8.0くらいに絞っても十分背景はボケます。むしろ背景が青紅葉ということが伝わりますから解放で撮影するだけでなく、場合によってはしっかり絞ることも考えるべきでしょうね。

 

~口径食は目立つ~

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左はF 2.8、右はF 4.0で撮影したものです。

ちなみに点光源をぼかして撮影すると口径食は結構目立つようです。鏡胴の比較的長いレンズだから仕方ないかもしれません (理由は記事最後にリンク貼っておきますので気になる方は後で見てやってくださいませ)。

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ちなみにレンズの重さは630gです。

 

~コマ収差~

あ、そういえばコマ収差の様子もテストしてきましたよ💡

星空に向かってF 2.8でシャッターを切ってみました。

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右上を拡大してみましたがコマ収差はほとんど認められませんでした。

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~湾曲について~

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 2.8, SS 1/1000 sec

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湾曲も全く目立ちませんね。気持ちのいい直線です ^^

 

~その他、作例~

長い記事でしたがそろそろ終わりです。最後に何枚か作例を一言コメントと共にアップしていきます。

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Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 100, F 3, SS 1/2000 sec

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本当にボケはかなり大きいです。少しだけざわつきますが解像度と良いバランスだと思います。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 900, F 3.2, SS 1/40 sec

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ピント面はがっつり解像していますし、羽の質感、えぐいですよね。

Z6 + NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, ISO 1000, F 5.6, SS 1/100 sec

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最初の最初に50mmの方が向いているとか書きましたが、105mmでもテーブルフォトにはちゃんと使えます。

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食べ物の写真の後で恐縮ですが、昆虫なんかももってこいの被写体ですよね!

 

~おわりに~

ということでNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sのレビュー記事でした!なかなか隙のないレンズでしてこれから重宝しそうな感じです。現在お気に入りのマクロレンズがある方が敢えて買い替えたくなるようなサプライジングで尖った特徴は無いかもしれませんが逆に目立った欠点は無く安心して使っていけそうです。強いて言えば口径食くらいでしょうかね、欠点は。

自分自身としてもこの記事を書くためにテストして、被写体に寄ったときにSSがどのくらいまでなら下げられるかとかAF性能がどんなものかとか改めて知れて実りがありました。

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例えばこの写真はSS 1/400 sec, ISO 2200で撮影しましたが、先に今回のテストをしていたらSS 1/50-100 secでもっとISO感度下げることもできましたね。

それでは長くなりましたがNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sのレビューでした!

今回はここで失礼いたします m(_ _)m

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~関連リンク~

「ボケの良し悪しはどう評価する?」という話です。

マクロレンズ全般に関する話です。

口径食が出現する原因の話です。

被写体に寄るほどF値は大きくなっていく。実効F値に関するお話です。

EDレンズって何?非球面レンズって何?そんな「レンズの中のレンズ」のお話です。

tatsumo77.hatenablog.com