Circulation - Camera

巡る季節を写真に残す! ~Since 2017-05-01~

デジタル一眼の進歩と高倍率ズームの関係 ~NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VRのレビューも兼ねて~

~Introduction~

こんにちは、Circulation - Cameraです。今回はレンズのおはなしです。みなさんは高倍率ズームレンズを使っていますか。例えばAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8E ED VRというレンズは24mmから70mmの約3倍ズームのレンズです。これに対して、例えばTamron 28-300mm F/3.5-6.3 Di VC PZDは28mmから300mmのおよそ10倍ズームが可能です。

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さて、広角から望遠まで広い範囲を一本のレンズでカバーできるので高倍率ズームは便利なわけです。高倍率ズームを使用せず同じ焦点距離をカバーしようと思えばレンズの数は増えますから、高倍率ズームの採用は機材の軽量化につながります。また、何本もレンズを揃えるよりも安価で済みますよね。

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単純比較できないことですが、機材は軽く済みますし、お財布にも優しい!

※画像引用:YODOBASHI.COM

こんな便利なズームレンズがあるのに何故人は単焦点レンズやもっとカバーする焦点距離が限られたレンズを使用するのでしょうか?

また、敢えてこんな記事を書いたのは最近高倍率ズームレンズを自分が必要になったからなのですが、それはなぜなのか?

今回はこんな点をポイントにしながら高倍率ズームについて語ってみたいと思います。多分に漏れず、自分はカメラについて語りだすと結構長くなりますので (今回は約4500字)、興味のある方は時間のある時に読んでやって下さいませ ^^;

それではよろしくお願いします m(_ _)m

 

~高倍率ズームの欠点~

さて、今回のテーマである高倍率ズームの利点は先ほど述べた通りです。軽くてこまめなレンズ交換が不要で安価。一方、欠点は以下のようになってきます。

欠点① 暗い

最小F値焦点距離によって変化し、基本的に最小F値は同じ焦点距離単焦点レンズよりも暗くなります。なので下の写真のように背景をとろけさせることは難しいです (こちらは焦点距離100mmの単焦点レンズでF 2.0で撮影)。

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欠点② オートフォーカスが遅い

スポーツや野鳥など動きものを撮ることを前提とした望遠レンズに比べるとオートフォーカスが遅めで動く被写体への追従性は劣るとされています。

欠点③ 光学性能に妥協がある

高倍率ズームは画質に関しては単焦点レンズに及ばないと認識されていると思います。

欠点④ 超広角まではカバーできない

多くの高倍率ズームレンズはフルサイズ換算で28mmスタートです。これはだいたいスマホの標準レンズの画角だと思っていただければイメージしやすいかと思います。なので下の写真のように広範囲を切り取った写真は撮影困難です (この写真は焦点距離15mmで撮影しました)。

DSC_3885_00001のコピー

 

 

~個人的な話①~

さて、ここからは個人的な話になってしまいますが、よろしければお付き合いください。自分は一眼を初めたのが2010年なんですが、初めは使っていたんです、高倍率ズーム。だって、安いし手軽にたくさんの焦点距離をカバーできるし、買わない手はないじゃないですか!

しかし、写真を撮り続けて上手な方の作例を見ていると思うわけです。単焦点レンズのボケっていいなぁ。高級なレンズはやっぱり写りが違うもんかなぁ。と、道具に画質を求め始めるわけです

D850 + Carl Zeiss Otus 1.4/28mm, ISO 2500, F 1.8, SS 6 sec

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また、自分の主な被写体は風景です。そのため三脚を使用する機会が比較的多く、三脚にカメラを固定しているとレンズ交換がそれほど苦にならないというのも高倍率ズームをあまり必要としなくなった理由の1つです。あと、星景写真も撮るようになって明るいレンズが必要になったというのもありますね。

DSC_3935_00001のコピー

そしてこのころになると良い感じに金銭感覚もマヒしてきて、APS-Cからフルサイズに移行したり、いろんな単焦点レンズを使うようになって、いつしか全く高倍率ズームは使用しなくなりました

 

~個人的な話②~

そして時は流れ、いつしか自分も2児の父親になってしまいました。で、2020年の7月に家族4人 (自分と妻と子供2人) で出かけたんですよね。このとき、驚くほど撮影ができなかったんです💦 

1歳児の長男君は走り回って危ないし、新生児は抱っこしなくてはいけなかったり。とても複数のカメラやレンズを扱う余裕は無くて、個人的には結構衝撃的な体験でした。そんなわけで再び必要になったのです、高倍率ズームが!!

 

 

NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR

奇しくもその頃、ちょうど発売されたレンズがあります。それがNIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VRでした。NIKONのZマウント用に設計された高倍率ズームです。

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このレンズに惹かれた大きな理由は24mmスタートという点です。先述したように高倍率ズームって28mmスタートが多くてなかなか24mmスタートって無いんです (SONYにはありますけどね)。個人的なイメージとして、28mmはギリギリ標準レンズで24mmは広角レンズというくらい28mmと24mmには差があると感じます。おそらくZマウント (というかフルサイズミラーレス) の大きなマウント径が可能とした設計なのでしょう💡

 

 

~作例~

ということで、ここからはNIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VRの作例たちです。まずはズーム性能を見てみましょう。このような場面でもズームリングを一捻りすれば、、、

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 100, F 14.0, SS 1/100 sec (24 mmで撮影) 

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ススっとここまで寄ることができます!

当たり前の事とは言え、

楽で仕方ない (笑)

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 400, F 8.0, SS 1/800 sec (85 mmで撮影) 

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ちなみにこの写真で焦点距離は85mmです。200mmまでズームできるのですから頼もしい限りです。画質も決して悪くないと思うんですマウント径の大きなミラーレス用に設計されているので無理なくレンズが設計できているのかもしれませんね💡

 

 

~暗所耐性はカメラで~

F値は4.0~6.3と暗めなレンズであることは否めません。しかし、カメラボディの高感度耐性は日進月歩の改善を見せておりレンズの暗さをカバーしてくれます。極端な例ですが、下の写真はISO 51200で撮影して、さらに少しトリミングしているのですが、それでもこのくらいの立体感や色の再現性は得られます。

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 51200, F 6.0, SS 1/30 sec (59 mmで撮影) 

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~寄れる!~

最短撮影距離も広角側で0.5m、望遠側で0.7mと短く、被写体に近づいて大きく撮影することができます。最大撮影倍率0.28倍のいわゆるクォーターマクロが実現できますので、沢蟹にもこのくらい近接できます。

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 5600, F 8.0, SS 1/160 sec (180 mmで撮影) 

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また寄れるということはボケ表現も楽しみやすいということです。大口径単焦点には及ばないとはいえ、570gのレンズ1本で下の写真のように広角でも望遠でもボケ表現を楽しめるのなら今の自分としては満足いきます

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 100, F 8.0, SS 1/1000 sec (24 mmで撮影) 

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Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 1250, F 9.0, SS 1/200 sec (60 mmで撮影) 

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~リアルな表現力~

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 640, F 6.3, SS 1/100 sec (135 mmで撮影) 

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望遠側はナナニッパのようなレンズに比べれば若干解像感が弱いような印象はありますが、シャドウ部分からハイライト部分まできちんと描写してくれておりリアルな質感を充分に感じ取れます。高倍率ズームって写りを犠牲にしているイメージがありましたが、カメラボディだけでなくレンズも確実に進歩しているのだなぁと感じさせられました。

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 100, F 8.0, SS 1/100 sec (24 mmで撮影) 

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曇り空の表情、建物の色合い、手前の網や鉄パイプの質感までしっかりと表現できていると思います!

 

 

~デジタル一眼の進歩と高倍率ズーム~

ということで今回は超久々に購入した高倍率ズームレンズのおはなしでした。家族で撮影に行くとレンズ交換が難しいことから購入することにしたのですが、思った以上の手ごたえに満足しております

Z6 + NIKKOR Z 24-200mm f4-6.3 VR, ISO 180, F 5.6, SS 1/500 sec (24 mmで撮影) 

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「高倍率ズームってこんなに綺麗に写るっけ?」

「思った以上にいろんな場面で使えるなぁ。」

そんな感想を持ちましたが、そこにはやはり近年のデジタル一眼の進歩が関係していると思います。自分がデジタル一眼を始めた10年前に比べて、高感度耐性もダイナミックレンジもオートフォーカス性能も何もかも改善されており、高倍率ズームで撮れる写真もどんどん本格的になってきているのだなぁと感じました。

そういえばスポーツ撮影の世界でもサンニッパやヨンニッパよりも開放F値が多少暗くてもズーム可能な100-400mm f4といったスペックのレンズが多用されているようですしね💡

また、フルサイズミラーレスが普及 (?) してレンズ設計の自由度が増しているのも追い風となっているのだろうと思います。

なので、荷物を少なくしたい旅行好きの方や登山趣味の方にも「充分本格的な撮影が楽しめそうですよ」とお勧めできるように思います。また、今回御紹介した24-200mmなどの高倍率ズームを基本レンズにして余ったスペースに魚眼やマクロやお気に入りの単焦点を仕込んでおくなんていう運用方法も魅力的だと思います ^^

途中、自分語りもあって随分長い記事になってしまいましたがお付き合い下さった方にはお礼申し上げます💦

それではまた次回、お会いしましょう m(_ _)m