Circulation - Camera

Since 2017-05-01

Zマウント初の超広角レンズ、NIKKOR Z 14-30mm F/4 Sをレビューします!

こんにちは、Circulation - Cameraです。

2018年にNIKONからフルサイズミラーレスカメラが発表され、約60年ぶりに新しいマウントが開発されました。その名もZマウント。そんなZマウント用のレンズは今まさにラインナップを充実させている最中で私も凄く楽しみにしています ^^b

そんな中、最初のZマウント対応の超広角レンズが登場!それが今回ご紹介するNIKKOR Z 14-30mm F/4 Sです。

f:id:tatsumo77:20190517132449j:plain

実際に使ってみて、とても使いやすくて良いレンズだと感じましたので、せっかくなのでレビューしてみることにしました。

 5000字近い長い記事になってしまいましたが、「どんなレンズなんだろう?」と気になるあなたは良かったら読んでいってやってくださいませ!

それではよろしくお願いします m(_ _)m

 

〜どんなレンズなの?〜

名前の通り、フルサイズ換算で14mm〜30mmをカバーする超広角のズームレンズで解放F値は全焦点距離に渡って4で固定のレンズです。このレンズの特徴は他のレンズと比較するとわかり易いと思いますので、まずはそういう方向で紹介をいたします。

 

 

大三元レンズとの比較〜

このレンズを語るにあたって、同じNIKKORレンズとして必ず引き合いに出されるレンズがあります。それは、いわゆる大三元レンズ広角端のAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDです。非常に有名なレンズで、その描写性は折り紙付きですよね!

f:id:tatsumo77:20190515094002p:plain

NIKON HPより画像引用

Sigmaからも同スペックのレンズが出ていますね。ほかにもTamronにも15-30mmのレンズがあります。単焦点レンズですとSamyang 14mmとSigmaの14mmがこの焦点距離だと連想されますでしょうか。あと、マニアックだけれどもCarl Zeiss Distagon 15mmも対抗馬と言えるかと思います。

さて、これらのレンズとNIKKOR Z 14-30mm F/4 Sとを比べた時、大きく異なるのはフィルターがつけられるかどうかです。NIKON及びSigmaの14-24mm、Tamronの15-30mm、SamyangおよびSigmaの14mmは全ていわゆる出目金レンズです。つまり角形でなければ原則フィルターがレンズフロントに装着できません。

f:id:tatsumo77:20190518134021p:plain

※画像引用:Yodobashi.com

一応、Zeissの15mmはフィルター装着可能ですが、そのフィルター径95mmと非常に大きいです。このサイズのフィルターになると値段も高いしPLフィルターやNDフィルターも選択肢は限られてきます (それでも装着できることはありがたいのですが)。

f:id:tatsumo77:20190518121126j:plain

それに対してNIKKOR Z 14-30mm F/4 Sのフィルター径は82mm。現在82mmというフィルター径はさほど珍しくなく、ソフトフィルターやクロスフィルターやPLフィルターやNDフィルターなど選択肢が非常に広いです。

また、単純にプロテクトフィルターが使えるのも利点で、出目金レンズを扱ったことがある人ならだれしもが経験するあの緊張感がかなり緩和されます ^^

 

 

小三元との比較~

ではF4通しのいわゆる小三元レンズとの比較はどうでしょう?例えば、NIKONでしたらAF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VRとか (´・ω・`)

f:id:tatsumo77:20190515094405p:plain

NIKON HPより画像引用

これらはフロントフィルターを装着することが可能な超広角レンズですから、フィルター装着可能という点において、NIKKOR Z 14-30mm F/4 Sにアドバンテージは無いように思います。

しかし、広角端の広さにおいてアドバンテージがあります。NIKONCANON小三元レンズは16mmスタートなのに対して、NIKKOR Z 14-30mm F/4 Sは14mmスタートです。超広角レンズを使用したことのある方には分かって頂けると思いますが、広角端で1mm違うのは非常に大きな違いです。確かに望遠端は30mm VS 35mmですが、用途を考えると広角端が2mm大きいことの方がアドバンテージであろうと私は考えます。

また、レンズの重量という点でもアドバンテージがあります。グラフにしてみました (単位はグラムです)。

f:id:tatsumo77:20190518132643p:plain

一番上が今回紹介しているNIKKOR Z 14-30mm F/4Sです。大三元レンズのNIKKOR 14-24mmに比べるとおおむね半分の重さです。他のNIKON, CANON, SONY小三元レンズと比べてもやや軽量なことが分かります。

このように、より広角をカバーしつつ軽量という点で運用のしやすさは従来の小三元レンズをも幾分か上回っているだろうというのが感想です。

 

 

〜ここまでのまとめ!〜

広角端が14mmのズームレンズでありながらフロントフィルターが装着可能で、しかも軽量なレンズがあらわれた!

f:id:tatsumo77:20190517132449j:plain

 

 

〜では実際の映りは?〜

次に実際の光学性能をテストしてみたいと思います。いかにスペックが素敵であっても描写性が悪ければどうしようもないですよね。

個人的な見解ですが、超広角レンズにおいては、

・逆光耐性

・歪みの少なさ

・ボケの流れ方

が光学性能として重要だと思いますので、そういった面を中心にテストしてみたいと思います。

<テスト①:逆光耐性>

敢えてF16まで絞って太陽にレンズを向けて撮影してみました。何カットか撮影しましたが明らかなゴーストは出現しませんでした。

Z6 + NIKKOR Z 14-30mm F/4 S, ISO 100, F 16, SS 1/320 sec

f:id:tatsumo77:20190516080707j:plain

同様のテストを夜景でも施行しましたが、やはり目立ったゴーストは出ず、非常に優秀な逆光耐性を実感しました。

Z6 + NIKKOR Z 14-30mm F/4 S, ISO 200, F 16, SS 25 sec

f:id:tatsumo77:20190516080614j:plain

※ちなみに本レンズはオートフォーカス対応ですが、マジで超高速です (笑) 爆速オートフォーカスのAF-S NIKKOR 24-70mm f2.8E ED VRよりも速いかもしれません ^^;

 

 

<テスト②:歪曲収差>

さて、超広角レンズはいかに像面の歪みがコントロールできているかも重要です。この像面の歪みを歪曲収差と言います (余談ですが魚眼レンズは歪曲収差を敢えて残したレンズを指します)。質の良くない超広角レンズは周辺が直線的にならずグニャリと歪んでしまいがちですが…。

f:id:tatsumo77:20190514081317j:plain

いかがですか?さすがにビルは傾きますが、14mmのレンズとしては妥当だと思います。一方で、周辺部の直線性はきちんと保たれていますよね ^^b

f:id:tatsumo77:20190517133146j:plain

この部分を拡大してみます

f:id:tatsumo77:20190517133230j:plain

もう一枚撮影してみましたのでご確認ください。

DSC_1212

 

 

 

<テスト③:ボケの流れ方>

超広角レンズの常ですが、かなり被写体に寄ることができます。本レンズも撮像面から28cmまで寄ることができます。これは前玉がほとんど被写体にぶつかりそうな距離です (笑)

こうなると超広角レンズとは言え、やはりボケの性質も気になるわけです。この作例をご覧ください。

Z6 + NIKKOR Z 14-30mm F/4 S, ISO 400, F 4, SS 1/1600 sec

DSC_1210のコピー

アウトフォーカス部分がほとんど流れていないことが分かります。下の写真と比較して見て下さい。これは全く別の機会に比較的チープな超広角ズームレンズで撮影した写真ですが、周辺が流れているのが良く分かるかと思います。

f:id:tatsumo77:20181215130734j:plain

 

<テスト④:ボケの性状> 

レンズのレビューとなれば、多くの方が気にするレンズのボケの性状をテストしてみましたのでご覧ください。

DSC_1245

FLICKRで拡大してくれたら分かると思いますが、中心はほぼ円形。周辺もそれほどレモン型にならなくて角ばった樽型ですね。

<中央>

f:id:tatsumo77:20190517134836j:plain

<周辺>

f:id:tatsumo77:20190517134907j:plain

ボケの性状は個人個人の好みがありますが、個人的には精悍なフォルムのボケで、年輪ボケも目立たず綺麗なボケだと感じました♫

※ボケの味わいに関しては以前まとめたことがあります:

カメラの考察 ~写真のボケが綺麗か汚いか?どこを見ればいいの?~ - Circulation - Camera

 

 

<テスト⑤:開放から使えるか?>

これは絶対に気になりますよね。レビューに「開放から使える」って書いてあっても、実際に使ってみたら全然ダメなレンズも世の中にはたくさんあります。できることなら星空で試したかったのですが、あいにく機会がなく、街中でテストしてみました。

DSC_1223

上の構図でF4, F5.6, F9で撮影してみましたので、写真の周辺を切り出して拡大してみます。

f:id:tatsumo77:20190517133637j:plain

<F4>

f:id:tatsumo77:20190517133512j:plain

<F5.6>

f:id:tatsumo77:20190517133536j:plain

F9

f:id:tatsumo77:20190517133548j:plain

いかがでしょうか?開放から目立った収差は無く非常に優秀だと思います。F4から十分使えそうですね!ただし、開放での周辺減光は目立ちますかね。

f:id:tatsumo77:20190517133751j:plain

中心部分は記事が長くなってしまうので拡大しませんでしたが、周辺でこれだけ描写性が良いので全く問題なく感じました。公表されているMTF曲線的にも中心部はより良好な様子です。

f:id:tatsumo77:20190518135349p:plain
f:id:tatsumo77:20190518135402p:plain
NIKON HPより引用、左が広角端で右が望遠端です

 

せっかくなので、もう一つ作例を出しましょう。

今度は30mm (望遠端) で撮影してみました。

f:id:tatsumo77:20190517134309j:plain

<F4>

f:id:tatsumo77:20190517134358j:plain

<F5.6>

f:id:tatsumo77:20190517134410j:plain

<F9>

f:id:tatsumo77:20190517134430j:plain

F4に比べてF5.6やF9の ほうが若干解像度は改善していますが、やはりF4から使うことに抵抗を感じるような結果ではありませんでした。

そして、余談ですがズームできることはやはり便利ですね。14mmと30mmでは同じ位置から撮影してもこれだけ映る範囲が異なります。

<14mmで撮影>

DSC_1242

<30mmで撮影>

DSC_1240

ズームが可能ということは構図を追い込みやすいので、やはり便利ですね。例えば東京駅前は一部区画でしか三脚が立てられないので重宝しました♪

Z6 + NIKKOR Z 14-30mm F/4 S, ISO 200, F 9, SS 8 sec (焦点距離およそ17mmで撮影)

DSC_1250

 

 

~欠点は無いのか?~

さて、ここまでテストしてみて、歪曲が少なく開放から実用可能な非常に完成度の高いズームレンズであると感じました。ただ、周辺減光が目立つことは欠点の1つと言えると思います。ほかにもどんな欠点があるのか考えてみます。

<欠点①:ケラレは発生しないのか?>

自分の持っているフィルターは1枚使用するだけでしたらケラレは発生しませんでした。しかし、2枚重ねすると、下のようなケラレが盛大に発生します。これは18mmまで引けば発生しなくなりましたが、2枚重ねをするときは要注意です。

f:id:tatsumo77:20190514081547j:plain

14mmでフィルター2枚重ねするとケラレます

2枚以上のフィルターを重ねなくてはいけないときには潔く角形フィルターを使った方が良いと思います。

f:id:tatsumo77:20190307075454j:plain

こういうやつです。

※ちなみに自分の持っている130mm角形フィルターホルダーは14mmでもケラレませんでした。

f:id:tatsumo77:20190518122438j:plain

 

<欠点②:開放F値が4ってどうなの?>

出目金とは言え、NIKON 14-24mmの開放F値はF2.8です。また、直接のライバルではないかもしれませんがSigma 14mmの開放F値はF1.8です。これらに比べるとどうしても暗いレンズであることは否定できません

SSが稼ぎにくいという点に関しては、手持ち撮影においては超広角がもともと手振れが目立ちにくいことや、NIKONのZ6やZ7にはボディ内手振れ補正が備わっているのでさほど問題になりにくいと思います (ちなみにレンズそのものには手振れ補正機能はありません)。

しかし、光量の少ない星景撮影ではどうかというところですね。実際すでに本レンズで星景撮影に挑んで素晴らしい結果を残している方々がたくさんおられるのでそれほど心配はしていませんがディスアドバンテージではあると思います。

 

<欠点③:使えるボディが少ない>

2019年5月現在存在するカメラで本レンズを使用可能なのはZ6とZ7だけです。マウントアダプターには期待したいですが、Zマウントのフランジバックが非常に短いので、このレンズのマウントアダプターを介してほかのマウントで使用することは若干難しいように思います。

※マウントアダプターとフランジバックの関係:

カメラの豆知識 ~ミラーレス機がオールドレンズと相性が良い理由~ - Circulation - Camera

 

 

~まとめです!~

<このレンズの利点>

・フロントフィルター装着可能

・広角端が14mmスタート

・望遠端も30mmまである

・軽量

・優れた逆光耐性

・素早いオートフォーカス

・ボケの描写も特に問題なし

・開放から十分使える

<このレンズの欠点>

・周辺光量落ちが目立つ

・2枚以上フィルターを重ねると広角端でケラレる

・開放F値が4である

・使用可能なボディが少ない

 

 

~おわりに~

ということで今回はNIKON Zマウント初の超広角レンズであるNIKKOR Z 14-30mm F/4 Sをレビューさせていただきました。

Zマウント対応設計になって、超広角レンズは設計の自由度が大きく増した (というかレフ機に敢えて対応する必要がなくなった) ことはこのレンズを生み出す大きな原動力となったことでしょう。設計上の束縛から解放された優秀なレンズであると思いレビュー致しましたが、もう一つ重要な点を忘れていました。

それは値段です。

このレンズの値段はおおよそ16万円です。金額の絶対値として16万円は高価ですが、個人的な感想として、本日引き合いに出した他の名レンズたちと比較しても決して飛びぬけて高額ではない妥当な価格設定だと思います。

f:id:tatsumo77:20190518142829p:plain

※価格はYodobashi.comの値段です

いかがですか?

このレンズ気になりましたか?

フルサイズミラーレスカメラが多くのメーカーから発表されるようになった昨今、一眼レフ機に対応するのに必要だったレンズ設計における制約がなくなりつつあります。

きっとこれからも多くの面白いレンズが出てくると思いますし、本レンズはそんな未来を予感をさせてくれる存在感があるレンズでした。今後出てくるレンズたちも非常に楽しみですね♪

それでは今日はここで失礼いたします m(_ _)m

f:id:tatsumo77:20190517132449j:plain