Circulation - Camera

巡る季節を写真に残す! ~Since 2017-05-01~

【カメラの豆知識】ISO感度とは?

こんにちは、Circulation - Cameraです。ISO感度ってありますよね?今回はそれについて少し語ってみたいと思います。カメラ初心者向けの解説とかを見るとF値シャッタースピード (以下SS) と同列に書かれていることが多いですよね。

完全に初心者という方は「ISO感度を高めに設定すれば写真が明るくなる」程度の理解でいいと思います。でも、同じ写真の明るさに関わる項目でも、F値やSSとは全く性質が異なります

ということで今回はISO感度との付き合い方を豆知識を交えて書いてみようかなと思います!知っている人には退屈な話ですが、ちょっと小難しい話もありますので、下に列挙したような疑問に興味のある方は時間のある時にでも読んでやって下さい。それではよろしくお願いします m(_ _)m

ISO感度を高くすると写真が明るくなるのはなぜ?

・ISO不変性って知ってますか?

・ISO Autoはどんな時に使いますか?

ISO感度って誰がいつ決めたの?

・基準感度が100のカメラが多いのはなぜ?

・おまけ:REIとSOSって聞いたことありますか?

 

(Q1) ISO感度を高くすると明るく写るのはなぜ?

ISO感度を高くするということは撮像素子が受けた光の情報を増幅するようにカメラに指示を出すということです。

だからISO感度を高くするほど少ない露出量でも写真は明るくなるわけです。具体的にはISO感度を2倍にすれば本来の1/2の露光不足でも適正露出にすることができます。わかります?例えば下の写真はISO 200, F 1.2, SS 1/800 secで撮影していますが、ISO 400, F 1.2, SS 1/1600 secでもほぼ同じ明るさになるということです。

DSC_9228○

ただし、ISO感度を上げすぎるとノイズが乗ってきてしまいザラザラした写真になってしまう可能性があります。これは多分誰でも知っていますよね。

重要なことは同じ「写真を明るくする」という行為でもSSを長くしたりF値を小さくするのに対してISO感度を上げるということは撮像素子が受光する量は変わらなくて信号を増幅しているに過ぎないということを認識することです。

 

(Q2) ISO不変性って知っていますか?

自分はしばらくずっと疑問に思っていたことがあります。

・暗めに撮影して後からRAW現像で明るさを調整する

・現場でISO感度を上げて適正露出に近づける

このどちらの方が画質がいいのかという問題です。

皆さんはどう思われますか?

機種にもよるのですが、RAWデータであれば多少露出を上げる程度ならあまり差はないとされています。これをISO不変性と言いましてかつて記事にまとめたことがあります (※1)。このRAWデータさえ残しておけば多少の露出アンダーは救済できるという事実は知っておくと現場で撮影するときに露出に神経質になりすぎなくて済みますので良いと思います (※2)!

ただ、最近のカメラはISO 800くらいで回路が切り替わってより高感度に強いアルゴリズムで信号を増幅してくれたりしますから、自身のカメラの特徴は抑えておくと良いでしょう。

 

(Q3) ISO Autoはどんな時に使いますか?

ちなみにISO感度はAutoに設定することができます。これは動きモノ撮影やスナップ撮影との相性が抜群です。F値とSSを固定しておいてISO感度だけはAutoにしておけば作品性を変えずに明るさの調整が効きますからね!

(`・ω・´) < これ大事なことです!

DSC_4760のコピー

例えばこの写真、被写体ブレを防ぎ充分に背景をぼかすためにSS 1/2000 sec, F 2.8を選択しています。写真のいわば作品性的なことはこの2つのパラメータで決まりますよね?逆に言えばISO感度なんてそんなに作品性に関連しません。なのでISO感度に関してはAutoにしておけば後は構図に集中できます。多少露出アンダーやオーバーは後から調整すればOKですもんね!

 

(Q4) ISO感度っていつだれが決めたの?

ISO感度はASA感度 (アメリカの規格) とDIN感度 (ドイツの規格) が1979年に統合されたものです。ISOは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称で、様々な”もの”に対する国際的な標準規格です。そもそもISO感度は写真フィルムの規格で、そのフィルムがどれだけ弱い光を記録できるのかを示していました。

写真引用:https://www.cameranonaniwa.co.jp/blogs/2220569632/

このようにフィルムが感度毎に分けられていて、暗い場所ならば高感度のフィルムに交換する必要があったわけです。デジカメに移行するにあたり、ユーザーが戸惑うことなく使用できるよう、デジカメのイメージセンサーの感度にも使われています。

 

(Q5) 基準感度が100のカメラが多いのはなぜ?

デジカメの常用感度はだいたいISO 100でスタートします。たまにISO 200スタートのカメラやISO 64スタートのカメラもありますがだいたいISO 100が最小値で、これを基準感度と言います。

例えばこのカメラは基準感度が64です。ちなみに常用感度は64~25600ということになります。そしてそれを逸脱した感度は拡張感度といいます (※3)
(画像引用:ヨドバシカメラ)

ISO感度を上げるほどノイズ量が増え、画質が劣化するというデメリットがありますから基準感度は最も高画質に撮影できると言って良いでしょう。ISO 100が基準なことが多いのはフィルム時代の名残でありますし、一番撮影に適しているからではないでしょうか。理屈的にはISO 800が基準感度のカメラなんかも作ることができますしシネマカメラはそんな感じですよね (SONY FX6とか)。でもこうしてしまうと高感度には強い反面、充分な光量のある場面では困ってしまいます。例えばISO 100, F 8.0, SS 1/2000 secが適当な場面であればISO 800, F 8.0, SS 16000 secという超高速シャッターが必要になったります。

 

~おわりに~

ということで今回はISO感度に関するお話でした。豆知識を交えつつお話ししましたがISO感度はあくまで撮像素子が受けた信号を増強しているだけということを是非とも認識してください。ISO感度を上げればノイズや偽色が目立っていきます。高画質な画像が欲しければSSやF値を調整し、充分に撮像素子を露光することが重要です。

とはいえ、SSやF値を調整すると不具合が発生することがあります。SSを長くしてブレが発生したり必要以上にボケてしまったりしますよね?そんなときは躊躇なくISO感度を上げてやる必要があります。必要なら躊躇なくISO感度を上げることができるようになれば脱初心者、、、かもしれません!そう、撮影現場において、ISO感度は作品性を変えずに明るさを調整できる唯一の操作なのです (※4)。

あとはRAW現像での明るさ調整やノイズ処理までできればさらにワンランク上の写真が撮れるようになることでしょう!長い記事になってしまいましたが、これでおしまいです!また遊びに来てくださいませ~ m(_ _)m

 

~注釈~

※1.) ISO不変性については下の記事にまとめたことがあります。

※2.) とはいえあまりに露光が不足していてダイナミックレンジから逸脱したデータ、いわゆる黒潰れは救出できません。また、単純なRAW現像での明るさ調整は何段分も行うとISO感度をちゃんと上げた場合に比べてノイジーになりますのでご注意ください。

※3.) 拡張感度は使用しない方がいいです。さすがにノイズと偽色まみれになってしまいます。

※4.) 被写体にライティングしたりストロボを使用したら話は別ですけどね。

 

~おまけ~

(Q) REIとSOSって聞いたことありますか?

実はISO感度の表記には、「推奨露光指数 (REI)」と「標準出力感度 (SOS)」という2つの基準があり、メーカーによって採用している表記が異なります。

このためカメラメーカーによって微妙に同じISO感度でも必要となるF値とSSが変わってきます。またREIはカメラメーカーの独自性が入るものなので同じREIを採用しているメーカーどうしでも若干必要とされるF値やSSが異なります。とはいえ、そんなに大きな解離ではありませんので豆知識程度に知っていてやって下さいませ。