D850 + Carl Zeiss Milvus 2.8/21mm + Kenko Starry Night, ISO 64, F 2.8, SS 13 sec
(90分間比較明合成 + 地上景重ね合わせ)
こんにちは、Circulation-Cameraです。前回アップしたこの写真は仕上げるのにちょっと手間がかかっていまして、そのmaking方法を記事にしてみました。ややマニアックな内容かもしれませんが、「1枚を完成させるのにこんなことしてるのか~」と気軽に眺めて行って下さいませ。それではよろしくお願いします m(_ _)m
~Step ① 構図と設定~
星の軌跡を写真に収めるときには基本的には比較明合成手法を用います。何枚も写真を撮影して明るいところだけをくっつけていくという手法ですね。今回のような星の軌跡 の写真は長時間シャッター開けっ放しで撮影したんだと思うかもしれませんが、そんなこと都市夜景でやったらあっという間に写真全体が白飛びしてしまいます ^^;
なのでこんな感じの写真を何枚も合成し、星の軌跡を紡いでいく感じになります。
一度連続撮影が始まったら中断することはできません。故に注意点が多いです。
・構図は本当にこれでいいか?
・ホワイトバランスはこれでいいか?
・三脚はきちんと固定されているか?
・バッテリーやメモリー残量大丈夫か?
・露出は適切か?
など事前にしっかり吟味し撮影を開始します!なので現場に着いてから撮影が始まるまでに15分くらいはかかります。ちなみに今回はISO 64, F 2.8, SS 13 secという設定で撮影しました。合計90分強撮影しましたよ~。
~Step ② 比較明合成~
帰宅したら比較明合成です。さっきから比較明合成って何という方もおられるかもしれませんが、このブログを始めたころに記事にしたことがあるのでそちらのリンクを貼っておきます。要するに異なる写真の明るいところどうしをくっつける合成技法です。
フリーソフトを含む様々な画像編集ソフトで可能な方法です。今回はStarStaxというフリーソフトでおよそ450枚の写真を合成しました。
そして下のような出来上がりになりました!
じゃん!
~Step ③ 地上景のマスク~
さて、スカイツリーはずっと青色になっているわけでは無くてライティングで真っ白のなる時間帯もあります。例えば下のようなタイミングです。
それも含めて合成することになりますのでどうしても白飛びしてしまいます。比べてみて下さい。


このようにただ合成しただけではわざわざ「粋 (淡い青色)」のライティングに合わせて撮影した意味合いが無くなってしまいます。これを打開するためにはスカイツリーが思い描いていた色に写った地上景をさらに合成するしかないと思います。
このためにはPhotoshopなどの細かい画像編集可能なソフトで地上景を選択します。この作業をマスクをすると言います。今回はLightroomで「空を選択」させ、それを反転させました。
マスクした範囲の露出を下げるとこんな感じになります。
ただ、これだけですと地上景と空の境界が曖昧ですし一部は空にも適応されてしまっています。なのでマスクをちみちみと削っていき露出を落としたいところだけを選択していきます。今回は30-60分くらいかけて処理していきました。
地味な作業です ^^;
最終的にはこんな感じです。
~Step ④ 地上景と合成~
あとはこの出来上がったマスクと地上景というかスカイツリーの青が綺麗に出ている写真を比較明合成しなおして完成です。
そしてこうなります!
じゃん!
D850 + Carl Zeiss Milvus 2.8/21mm + Kenko Starry Night, ISO 64, F 2.8, SS 13 sec
(90分間比較明合成 + 地上景重ね合わせ)
~おわりに~
ということでこの写真のmaking過程を晒してみました。比較明合成の手法をかなり活用したと思います。合成機能をあまり良く思わない方もいるかもしれませんが、表現したいことを表現するには現在のカメラだけでは限界があり、ある程度は手動でやらなくてはいけない部分もあると思います。
ちなみにですが、一応自分としてはなんでもありではなく「ここまでは合成や写真編集はしてもいいが、ここからはダメ」という境界線はあります。次回はそんなことを書いてみようかなと思いますので興味がございましたらまた遊びに来てやって下さい。それでは今回は失礼します m(_ _)m
~関連リンク~
LightroomというRAW現像ソフトでマスクをかける範囲を調整する方法をまとめた記事でございます!