Circulation - Camera

巡る季節を写真に残す! ~Since 2017-05-01~

カメラの豆知識 ~大口径レンズと開放F値の定義~

~大口径レンズとは?~

カメラに関する話題で「大口径」という言葉を耳にしませんか?

例えば、

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今日はこの「大口径」という言葉を解説します。

関連して、解放F値の定義についても解説しますよ♫

なるべくシンプルにまとめましたが、ちょっと長めの記事なので、興味のある方は時間のある時に見てやってくださいませ m(_ _)m💦

 

 

~定義は曖昧 ^^;~

はじめに答えを言ってしまうと、

「大口径 = 開放F値の小さいレンズ」

を指します。

もっとも、開放F値が小さいと言っても、

どこまでを小さいとするかは曖昧です💦

そのレンズの焦点距離にも依りますし、単焦点レンズなのかズームレンズなのかによっても変わってきます。

例えば…

焦点距離50mmの単焦点レンズは開放F値が2.8では一般的に大口径とは言わないでしょう。一方で開放F値が1.4なら大口径と表現して問題ないと思います。

② 対して、焦点距離24-70mmのズームレンズでは、開放F値2.8でも大口径とみなす方が大多数だと思います。

③ また、開放F値が2.8の単焦点レンズであっても、焦点距離15mmや400mmなら大口径とされています。

まぁ、この辺は相対評価なので、気にしなくて大丈夫であります ^^b

とにもかくにも、

「大口径レンズ = 開放F値が小さいレンズ」

とだけ覚えていてもらえれば充分です。

( ̄ー ̄)ゞ

 

 

〜憧れの大口径レンズ!〜

大口径レンズは開放F値が小さいので、大きなボケが得られ、シャッタースピードも速くできます。そのため、大口径レンズのことを「ハイスピードレンズ」と呼ぶこともあります💡

※特に海外ではもっぱらhigh speed lensと呼ぶみたいですね。

大口径レンズは、基本的に高級です。

例えばCaral ZeissNIKON用の25mm単焦点レンズを見てみましょう。

同じ焦点距離25mmでもF2.8なら9万円ほどですが、F1.4では30万円近くします!

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他にもNIKONの400mm F2.8という単焦点レンズは120万円近くします!

まぁ、ちょっと極端な例ですが ^^;

なんにせよ大口径レンズはカメラ好きの憧れのレンズなんです ٩( ᐛ )و

 

 

~実際の絞りサイズ~

さて、大口径レンズについての説明は終わってしまいました (笑)

「大口径レンズ = 開放F値が小さいレンズ」

でも、これだけではあまりにも芸がない!

もうちょっと掘り下げてみましょう。

 

実際のレンズの絞りの大きさを見てみましょう💡

ここでは2本の開放F値が1.4の大口径レンズに登場してもらいます。

いずれもF1.4の時の状態の写真です。

(1) 焦点距離28mm 開放F値1.4

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(2) 焦点距離58mm 開放F値1.4

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あれ?

同じ開放F値1.4なのに絞りの大きさが違いますね?

これ、カメラ初心者のころ疑問だったんです ^^;

同じ開放F値なのに何故、絞りの大きさが違う?

この答えは「開放F値の定義」にあります。

 

 

~開放F値の定義~

今日は1つだけ、計算式が出てきます。

しかし、超簡単な式なのでビビらないで読んでやってくださいね ^^;

===>

開放F値 = (レンズの焦点距離) ÷ (有効口径)

※有効口径とは「正面から見た解放時の絞りの直径」だと思って下さい。この解説は記事の最後に「おまけ」として記載しておきますね ^^b

 

 

これを見れば、同じ開放F値が1.4のレンズでも、どうして58mmの単焦点と28mmの単焦点では絞りの径がこうも違うか、簡単に分かります (`・ω・´)b

① 58mmのレンズ:

1.4 = 58 ÷ 有効口径 

なので、有効口径 ≒ 41.4mmとなります。

② 28mmのレンズ:

1.4 = 28 ÷ 有効口径

なので、有効口径 = 20mmとなります。

 

===>

ですから、同じF値でも焦点距離が違うと絞り径が違うのです💡

QED (`・ω・´)b

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~例えば焦点距離15mmの場合は?~

一般に、焦点距離15mmで開放F値2.8のレンズは大口径レンズに分類されます。

その絞りの大きさを計算してみましょう。

2.8 = 15 ÷ 有効口径

従って、有効口径 = 15 ÷ 2.8 ≒ 5.4mm

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小さい!!

直感的に「大口径」という言葉に疑問を感じません!?

でも、間違いではないわけであります。

 

 

~例えば焦点距離400mmの場合は?~

今度は焦点距離400mmで開放F値が2.8の大口径レンズを考えましょう。

通称ヨンニッパと呼ばれる超高級レンズですね!

例の計算式で有効口径を計算してみましょう💡

2.8 = 400 ÷ 有効口径

従って、有効口径 = 400 ÷ 2.8 ≒ 143mm

でかくないですか!?

普段皆さんが御使用のレンズ、プロテクトフィルター何ミリですか?

多分、77mmとか67mmとかそのあたりですよね?

143mmですよ!?

大口径望遠レンズが巨大で高価なのはこういう理由なんです。

実際のヨンニッパはこんな感じです。

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 ※http://www.nikon-image.com/sp/my_nikkor/nakamura.html

でかいですね!∑(゚Д゚)

 

 

~まとめ~

本日のまとめです♫

① 大口径レンズとは開放F値の小さなレンズを指します。

② 大口径レンズとハイスピードレンズは同じ意味合いで用いられます。

③ 開放F値(レンズの焦点距離) ÷ (有効口径) で計算できます。

④ すなわち、同じ開放F値でも広角レンズほど実際の絞りは小さくなります。

⑤  逆に超望遠レンズほど巨大になっていくのにはこういう理由があるのです。

 

ということで、今回は「大口径レンズ」の解説に始まり「開放F値の計算式」まで御紹介しました。

(`・ω・´)b

これを知っていると、超広角の絞り環がなぜ小さいのか、とか超望遠単焦点がなんであんなに大きいのかとか理解しやすいですよね♪

 

では今日はこの辺で!

もしこの話にもう少しご興味のある方は「おまけコーナー」も見てやってください ^^

それではまた、次回、お会いしましょう♫

今日も読んで下さりありがとうございました m(_ _)m

 

 

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~おまけ:有効口径~

レンズに光が侵入するとき、前玉を通過した光は、全てが使用されるわけではありません。絞りがありますからね。ですから、絞りを通過した一部だけが実際に写真に使用されます。この実際に光束が通過できる幅を「有効口径」と呼ぶわけです。

本来の有効口径の測定方法は、

「レンズから離れて、前玉側から見たときの開放絞りの直径の大きさ」です。

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なので、有効口径と最大絞り径はイコールではありません

※もちろんフィルター径とも違います。「フィルター径 > 有効口径」です。

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従って、レンズ構成が違えば必要な有効口径を得るための絞り環の大きさは変化しますので、同じ焦点距離・同じ開放F値のレンズでも絞り環の直径はしばしば異なります

 

 

〜最後に〜

もし、ご質問や、私が勘違いしている点があったらコメント欄にお願いします!

ご質問にはお答えしますし、勘違いしている点は修正させていただきます  ^^b