こんにちは、Circulation - Cameraです。星空を絡めた風景写真を星景写真と言います。自分はこれが好きなんです。今回はこの撮影にちなんだ記事を書いてみました。テーマはずばり「星景写真のレンズ」です。誰に教わったわけではないですが何となく星景撮影といえば超広角レンズという方程式がありませんか?
自分もなんでか知りませんがそういう風に思っていて、35mm換算で15mmとかの超広角レンズメインで撮影していました。しかし、いろいろ撮影しているうちに「あれ?超広角レンズって案外と欠点もあるぞ?」と思い始めてきました。
ということで今回は星景写真に向いているレンズの焦点距離を考えてみます。それではよろしくお願いします m(_ _)m
~初めに結論~
先に結論を書いてしまうと星景写真を撮影するのには20-30mmくらいの焦点距離のレンズが使いやすいように思います。
~超広角レンズの欠点~
<その①> 星の大きさが小さくなる
ここでいう超広角レンズは20mm以下の焦点距離のレンズだと思っていてください。こういう超広角レンズは星空と地上景が簡単に1つの構図に入れることができます。ただ、広い範囲が写る分、星の大きさが小さくなってしまうという欠点があります。
D810 + Carl Zeiss Distagon 2.8/15mm, ISO 2500, F 2.8, SS 60 sec (2016年; 沖縄)
本格的に星景写真に取り組む前の写真なのでいろいろと荒くて恐縮ですが、「星の大きさが小さくなる」という作例としてちょうど良かったので持ってきました。もう一枚、15mmで撮影した作例をアップしてみます。
D850 + Carl Zeiss Distagon 2.8/15mm, ISO 800, F 3.5, SS 30 sec (2017年; カナダ)
なんとなく言いたいこと分かりますか?星の存在感がちょっと弱いんですよね。一方、少し焦点距離の長い焦点距離28mmのレンズを使用するとこんな感じです。
D850 + Carl Zeiss Otus 1.4/28mm, ISO 1000, F 2.0, SS 1/10 sec (2018年; 長野)
比べてみるとかなり星のディテールがはっきりしますよね?写真左の2つの鉄塔の間にはアンドロメダ星雲もブログサイズではっきりと分かります。また、超広角レンズですと流れ星がせっかく映り込んでも小さく写って迫力が出にくいという欠点もあります。
星景撮影している人なら経験あるかもしれませんね、「せっかく流れ星が構図に入ったのになんだか目立たないなぁ (-_-;)」って経験。
D850 + Carl Zeiss Otus 1.4/28mm + partial soft filter, ISO 2000, F 1.4, SS 10 sec (2021年; 長野)
28mmで撮影したこの写真はまぁまぁ流れ星の存在感ありますよね?Flickrにアップしてますのでよろしければ写真をクリックしてそちらで拡大して見てやってください💡
<欠点①'> 地上景のディテール
あと、28mmの作例を見ていただくと画角が狭い分、地上景の情報もすっきりしますよね。星景写真=超広角レンズと思い込んでいると地上景として選んだものの魅力を充分に表現しきれないことがあります。
<欠点②> 周辺の流れが目立ちやすい
レンズによって差が大きいので一概には言えませんが超広角レンズほど四隅の流れが生じやすいです。とある写真の周辺部を拡大したものを下に示します。
いずれもSS 10 sec程度で撮影したものです。周辺部の流れの意味、お分かりいただけましたでしょうか?
<欠点③> F 2.8スタートが多い
SIGMAの14mm F1.8のような例外はありますが超広角大口径レンズはF2.8スタートがスタンダードです。F2.8って明るいんですよ?ただ、星景写真を何回も撮影していると少しでも明るいレンズが欲しくなってきます ^^;
これが20-30mmくらいの焦点距離だとF 1.4やF 1.8スタートのレンズが山ほどありますよね!
~おすすめ焦点距離は?~
ということで、超広角レンズは簡単に空と地上を一つの構図に入れることができますが欠点として以下のようなものを感じます。
・星が小さくなってしまう
・地上景のディテールが出しにくい (ことがある)
・周辺の流れが目立ちやすい
・F2.8スタートのレンズが多い
Z6 + NIKKOR Z 20mm F1.8/S + partial soft filter, ISO 3200, F 1.8, SS 10 sec (2021年; 山梨)
ということで、個人的には25mmくらい、少し幅を持たせて20mmから30mmが撮影しやすいと感じます。このくらいですと星も大きく写りますし周辺の流れも気になりません。ちなみに30mmよりも長い焦点距離になりますとちょっと窮屈になってしまうことが多くて使いどころが制限されることが多いように思います。
ということで結論はもう書いてしまったのですが、別に私は超広角レンズがダメって言いたいわけではないんですよ。超広角レンズが向いている場面も考えてみました。
~<利点①>天の川が撮影しやすい~
天の川はそもそも巨大な被写体ですので超広角レンズで撮影するのに向いているかもしれません。地上景のディテールよりも天の川の雄大さを強調したい場合は20mm未満の超広角レンズのほうがいいかもしれませんね。
D850 + Carl Zeiss Distagon 2.8/15mm + partial soft filter, ISO 4000, F 4.5, SS 1/30 sec (2021年; 長野)
~<利点②>星の軌跡撮影~
星を点としてではなく軌跡で撮影する場合は嫌が応にも星の存在感は際立ちますから超広角レンズの欠点が一つ払拭されます。
D90 + 焦点距離35mm換算で15mmの魚眼レンズ (2012年; 北海度)
D850 + AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED, ISO 4000, F 4.5, SS 30 sec, 40分間撮影し比較明合成 (2020年; 群馬)
ただ、選ぶべき焦点距離はあくまでその風景次第です。例えば下の写真では足元から天空まで一つの構図に収納したかったので15mmの超広角レンズを選択しました。
一方、下の写真は28mmで撮影しています。これ以上短い焦点距離では富士山が小さくなってしまいますから28mmがちょうどよかったのです。
D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/28mm (2017年; 静岡)
もっとニッチな撮影になっちゃいますけど、下の写真は富士山の頂上だけを切り取ることをコンセプトにしていますので135mmで撮影しています。
D810 + Carl Zeiss Apo Sonnar 2/135mm (2020年;山梨)
そんなわけで究極的には地上景がなんであるかでレンズの焦点距離は決まるのですが、超広角レンズこそ星のグルグルとしたダイナミックな軌跡を表現しやすいので、こういう場合は有効だと思います。
~<利点③> ズームレンズが多い~
最後に、焦点距離20mm-30mmのレンズはF1.4やF1.8のラインナップが豊富とお話ししましたが、この焦点距離をきっちりカバーしてくれる明るいズームレンズがほとんど存在しません。一方、各社から発売されている「いわゆる大三元レンズの広角レンズ」は14mm近い焦点距離から24mm近い焦点距離をF2.8固定でカバーしてくれます。
星景写真はフットワークで構図を作ることに限界があります。そんなときにズームレンズの存在は非常に心強いですよね。最近のズームレンズは光学性能も単焦点レンズに遜色ありませんので安心して使用できます。
~まとめです!~
・超広角レンズは地上景と星空を容易に一つの構図に入れることができる。
・ただし、星 (や流れ星) は小さくなってしまうことや必ずしも地上景とのバランスがベストではないことや解放絞り値がやや高めになってしまうことが欠点である。
・20-30mmの焦点距離は星の大きさと景色のバランスがとりやすいと感じる。
・天の川を大きく表現したい場合や星の軌跡を撮影する場合には超広角レンズは使いやすいが星空とコラボさせる風景との兼ね合いで最終的な焦点距離を決めることになるので「星景写真=超広角レンズ」という方程式に縛られる必要はない。
~おわりに~
ということで今回は星景写真を撮影するのに向いている焦点距離について考えてみました。星撮影に向いているレンズをググると、NIKONの14-24mmとかCANONやSONYの16-35mm とかSIGMAの14mmとかTamronの15-30mmとかがお勧めレンズに良く挙がっていると思います。要はなんとなく広い範囲が写るレンズの方が良いと思いがちなんですよね。
自分も星を撮り始めたころにはそう思っていましたが、実際に撮影していると超広角レンズよりも20-30mmの方が風景と星空のバランスが良いことが何回もありましたのでこの記事を書いてみました💡
それでは今回はここで失礼いたします m(_ _)m