Circulation - Camera

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【カメラの豆知識】フォーカルプレーンシャッター ~シャッタースピードを変えてもシャッターの移動速度は変わらない?~

こんにちは!

今回はやたら長いタイトルになってしまいましたCirculation - Cameraです ^^;

突然ですが、皆さんは写真を撮って欲しい時になんてお願いしますか?

  1. シャッターを押して下さい
  2. シャッターを切って下さい
  3. レリーズして下さい

もちろんどれでも通じればいいのですが、どれが正確とかあるのでしょうか?

 

そもそもシャッターは撮像素子の前にある光を遮る (shutする) 装置です。

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※画像引用:NIKON HP

で、このシャッターを作動させるボタンはシャッターボタンといいます。なので正しくは「シャッターボタンを押して下さい」であろうと思います。

※もっとも「シャッターを押して」と言って、レンズを取り外してカメラの中のシャッターを押す非道な人間がいるとは思えませんけど ^^;

 

「いきなり何の話やねん」って感じですが、今回はそんなカメラのシャッターについての話題です。カメラのシャッター機構にはいくつか種類があるのですが、今でも多くのカメラ (特にレンズ交換式カメラ) に採用されているフォーカルプレーンシャッターという方式を中心について解説してみたいと思います。

 

ちょっと長い記事なので、興味のある方は時間のある時に読んでやって下さいませ。

それではよろしくお願いします m(_ _)m

 

~フォーカルプレーンシャッター~

フォーカルプレーンシャッターとはその名の通り、撮像素子 (の複合体) やフィルムの前に備え付けられたシャッターです。focal(焦点の)plane(面)にあるシャッターということですね。

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※画像引用:Wikipedia

基本的な仕組みは単純で、先幕という幕が下りると露光が始まり、必要時間露光したら後幕が降りてきて露光が終了するというものです。

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<実際の先幕と後幕の挙動のイメージ①>

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<実際の先幕と後幕の挙動のイメージ②>

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「先幕が下りると露光が始まり、必要時間露光したら後幕が降りてきて露光が終了する」というシンプルな挙動ですよね ^^b

 

~高速シャッターへの対策~

さて、このフォーカルプレーンシャッターは常に上の図のように、

① 先幕が下りる

② 一度全開になる

③ 後幕が下りる

という動作をするわけではありません。なぜなら、そうしてしまうと高速シャッターを要求する場合に問題が出てくるからです。当たり前ですが、幕の移動速度にはどうしたって限界があります。

仮に1/8000 secのシャッタースピードを要求したとします。フルサイズカメラの場合、撮像素子の縦方向の長さは約24mmです。もし一度全開にならなくてはいけないのなら、先幕の移動速度は24×8000 = 19200なので192 m/sとなります。これは時速に変換すると、約691 km/hrとなります。加速と減速があるからこんなに単純じゃないんですけど、とは言えなかなかこんなスピードで幕を動かすのは困難でしょうね ( ̄▽ ̄;)

そこで、一定以上のシャッター速度が必要な場合では幕の移動速度は変化せず、先幕と後幕の間のスリットの幅で露光量を調整します

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そして、同じ速さで幕が移動するとしたら、スリット幅が小さい方が撮像素子の露光時間が短くなります (= 高速シャッター)。

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で、多くの機種では1/200 sec程度よりも速いシャッタースピードでは、このスリット方式に切り替わります。すなわち、1/200 sec以上の速さになったら先幕+後幕の移動速度は変化せず、スリット幅がだんだんと細くなっていきます

これが本日のサブタイトル「シャッタースピードを変えてもシャッターの移動速度は変わらない?」の意味です💡

※なお1/200 secの場合、幕の移動速度は、24 × 200 = 4800なので4.8 m/sですから、約17 km/hrとなります。先ほどの691 km/hrに比べればだいぶ緩やかですね。

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高速シャッターのおかげで捉えられる一瞬!



 

 

~ストロボには要注意~

このおかげでフォーカルプレーンシャッターでは、1/4000~1/8000 secという高速シャッターを実現できるのですが、逆に言えば1/200 secよりも速いシャッター速度では撮像素子は全開にならず、スリット状になってしまいますので、ストロボは使用できません。正確にはストロボを強制発光させると先幕と後幕が映り込んでしまうのです。

例えば、これはNIKONのHPから引用したD850のスペック表の一部ですが、1/250 secより速いと同調できないという内容が記載されていますね💡

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ただし、この対策として高速連続発光機能の搭載されたストロボもあります。これでしたら、連続発光になるので光量が弱くなるという欠点がありますが、1/200 secよりも速い1/4000 secの場合でもストロボが使用できます。この機能をFP発光とか日中シンクロとかハイスピードシンクロと言います。 

 

 

~ミラーレス機種の場合は?~

ミラーレス機種にも多くの場合、2019年3月現在、フォーカルプレーンシャッターが採用されています。ミラーレス機の場合、普段はEVFは背面モニターの画像を確認するためにシャッター開放状態で、撮影するときだけ先幕・後幕が動くような仕組みです。

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NIKON HPから抜粋。NIKONミラーレス機Z7のスペック表です。

ただし、多くの機種では電子式シャッターと共存しています。実際、上のZ7の表にも電子先幕シャッターや電子シャッターという言葉が認められます。

電子式シャッターと機械式シャッターの関係については長くなってしまいますので、「電子式シャッター」をテーマに近いうちに必ず記事を書きますから、そこで詳細をまとめさせて下さい m(_ _)m

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以上で、フォーカルプレーンシャッターのお話は終了です!でもせっかくですので、次の項でもう一つの代表的な機械式シャッターであるレンズシャッターについて書いてみます。

 

 

~レンズシャッターとは?~

冒頭でフォーカルプレーンシャッターはfocal plane、すなわち撮像素子の前に備え付けたシャッターであるとお話ししました。一方でレンズシャッターはその名の通りで、羽根状になったシャッターがレンズの中に仕込んであります

イメージしやすいように図を貼っておきます。人間の瞳孔 (写輪眼?) みたいですよね。

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Wikipediaから引用した5枚羽のレンズシャッターの例です。

よくカメラのシャッターをモチーフとしたイラストで、こういうの (↓) を見かけるかもしれませんが、これはレンズシャッターを模したものです。

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※画像引用:https://www.silhouette-illust.com/illust/10337


見た目の通り複数枚の薄い金属板でできた羽根が瞬間的に開閉する機構です。レンズシャッターはレンズ内に組み込めるので小型化できます。なので、レンズ一体型のコンデジにしばしば採用されています。

ちなみにレンズのどこにシャッターが配置されているかによって呼び名が変わるようですよ。

  • レンズの前側ならfront shutter
  • 後ろ側ならbehind shutter
  • レンズの間ならbetween shutter

※また、絞りとシャッターが一人二役するタイプもこのbetween shutterの一種と言えるかもしれません (≒ プログラムシャッター)。

 

【レンズシャッターのメリット】

フォーカルプレーンシャッターに比べて、先ほど述べたようにコスト面でも小型化できるという面でも有利ですが、さらにシャッター音が静かです。また、シャッターによる衝撃も比較的少ないというメリットがあります。

そしてストロボ撮影において、レンズシャッターでは、いったん全開になるので、高速のシャッタースピードでもストロボが普通に使える (全速ストロボ同調) というメリットがあります。

 

【レンズシャッターの弱点】

一方、弱点はそのシャッタースピードです。フォーカルプレーンシャッターのようにスリットを細くする方法論が使えませんからね。特に大型のレンズの開放状態では羽根の移動距離が長くなり、シャッタースピードがどうしても遅くなってしまいます。

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レンズシャッターの場合、開放F値での最高シャッタースピードは最高で1/2000 sec、多くの機種で1/500~1/1000 secくらいです。

例えば、RX1というSONYコンデジはスペック表には1/4000 secまで可能と書かれていますが、注釈に「F5.6以上に絞った場合」と書かれているのはこういう理由です。

 

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~まとめです!~

・フォーカルプレーンシャッターは先幕と後幕の隙間のスリット幅を調整することで高速シャッタースピードを可能にしています。

・この技術は、2019年3月現在、最新のミラーレスカメラにも採用されていますが、電子式シャッターもどんどん進歩しており、電子式シャッターと併用している機種が多いです (電子式の詳細は別記事で近くアップします)。

・フォーカルプレーンシャッター以外の機械式シャッターとしてはレンズシャッターが代表的で、今でもコンデジに採用されています。

 

 

~おわりに~

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ということで、今回はフォーカルプレーンシャッターを中心に機械式シャッターを解説してみました。サブタイトルの「シャッタースピードを変えてもシャッターの移動速度は変わらない?」も御納得いただけましたでしょうか?

もちろん今日のお話は、ストロボ撮影時以外では、別に知らなくてもいい知識かもしれませんが、スリット幅を調整することで高速シャッターを実現する機構はユニークで面白いと思いますし、微妙なスリット幅の調整を瞬時にやってのけるカメラは改めてすごいと感じました ( ̄▽ ̄)

 

本日ご紹介したフォーカルプレーンシャッターやレンズシャッターは機械式シャッターでしたが、来週にでも「電子式シャッター」について自分なりにまとめて記事にする予定ですので、よろしければまた遊びに来てくださいね ^^

最後になりますが、私が勘違いしていることやご質問がございましたらコメント欄に頂ければ幸いです。それでは今日はここで失礼します m(_ _)m