こんにちは、Circulation - Cameraです。今回はカメラのISO感度に関する記事です。ISO感度というのはシャッタースピードとF値と並ぶ写真の明るさを決定する3要素の1つと最初に習うやつですよね。
個人的にこれらを3パラメータとするのは正確な表現ではないと思っているのですが、まずは細かいことは置いておいてめっちゃ端的に言うと、
「ISO感度を高く設定するほど暗い場所でも明るく写せる。でもその分ノイズが乗ってざらざらした写真になっちゃうよ。」
という性質のパラメータです。故にISO感度は低めに設定することが望ましいわけであります。理想を言えば全てISO 100とか最小感度で撮影したい。しかし、特にカメラを始めたばかりの人はついついISO感度固定のプログラムオート (F値やSSはカメラが自動で決めてくれるモード) なんかで思わぬミスをしがちです。
例えば、下のような写真。
Nikon Z 6 + NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR (≒ 200mm), ISO 400, F 6.3, SS 1/400 sec
この写真は明るい日中でしたがISO 400, SS 1/400 secで撮影しています。結構ローアングルで不安定な態勢でした。もし日中だからとISO 100で撮影していたらSS 1/100 secになって手振れしていた可能性も否めません。だからここではISO 400を意図的に選択したのです。
~F値とSSが最優先!~
これは声を大にして言いたいのですが、ISO感度はSSやF値よりも優先されることはありません。今日の記事のタイトル、「ISO 100で撮影することは正義なのか?」の答えにもなるわけですが。カメラに慣れてきたら是非ここを意識してほしいと思います。
~Do not hesitate!~
明るい場所であってもSSを稼がなくてはいけない場面などでは普通にISO 800~1600くらいまで上げて撮影してみましょう。そんなことをしたら画質が低下してしまうのでは?と心配になるかもしれませんが、最近のデジカメ、特にAPS-C以上のカメラは高感度耐性が高くISO感度をちょっと変えたくらいでは破綻しません。例えばこの写真をご覧ください。
Z 6Ⅱ + Carl Zeiss Distagon 1.4/25mm, ISO 800, F 2.0, SS 1/800 sec
この写真は風鈴の動きを止めるためにSS 1/800 secで撮影しています。F値は少し被写界深度を稼ぐためにF 2.0にしました。結果、ISO 800での撮影となっています。しかし、その画質には何も問題を感じません。下にピント面とアウトフォーカス部分をアップしたものをそれぞれ載せておきます。
せっかくなので他の写真でISO感度の変化とディテールやノイズの変化をテストしてみましょう💡
※以下の検証は全て三脚に載せて手振れ補正offにしてJPEG撮って出し、ノイズリダクション中程度としています。せっかくのノイズリダクションをoffにするのはリアルではないと思いこのようにしました。
~実験① 明るい環境~
下の2枚の写真を比べてみてください。どちらの写真もZ6Ⅱ + NIKKOR Z 24-120mm F/4 SでF5.6固定で撮影しています。どちらがどれくらいのISO感度で撮影したものか分かりますでしょうか?
<写真A>
<写真B>
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写真AはISO 100 SS 1/20 secで撮影しています。一方、写真Bは実はISO25600 SS 1/4000 secという条件で撮影しています。中央付近を拡大してみます。
<ISO 100>
<ISO 25600>
もちろん (あまり話題にはなりませんが) Z6系統がやたら高感度耐性がいいっていうのもあるのでこの結果だけを一般化できないことは間違いありません。けど、最近のAPS-C以上の機種はかつてに比べて圧倒的に高感度耐性が良いので「ISO感度が低くあることの重要性」は低下してきているという風に思います。
~実験② 暗い環境~
もう少し暗い環境での作例も掲載してみます。
Z6Ⅱ + NIKKOR Z 24-120mm F/4 S, ISO 100, F 4.0, SS1/2 sec
Z6Ⅱ + NIKKOR Z 24-120mm F/4 S, ISO 3200, F 4.0, SS1/60 sec
Z6Ⅱ + NIKKOR Z 24-120mm F/4 S, ISO 25600, F 4.0, SS1/500 sec
~自分の機種の限界~
上の写真はOlympus Tough-5という機種で撮影したものです。F 2.3, SS 1/30 sec, ISO 800という設定で撮影していますが既に結構ノイジーかもしれませんね。Z 6ⅡのISO 25600と一部拡大して並べてみますので比較してみてください。
~センサーサイズ~
Olympus Tough-5のセンサーサイズは1/2.3型です。
写真のノイズはセンサーサイズだけで決まるものではありません。有効画素数、積層型か否か、画像処理エンジン。多くの要素が関与しますが原則としてはセンサーサイズが大きい方が有利です。
なので自分の使用している機材がどのくらいのISO感度までが自分の納得のいく限度なのかは知っておくといいでしょう。
~まとめ~
とはいえです!どんなカメラであってもISO感度がF値やSSより優先される場面はあり得ないと思います。ましてタイトルにも書きました通り、ISO 100にこだわる必要はないでしょう。日中でも必要ならどんどんISO感度を上げていきましょう。
例えば下の写真、風景写真だからISO 100で撮りたい?絶対に手振れしてほしくないという気持ちの方が優先度高いですよね。ISO感度なんて二の次です!
Z 6 + AF-S NIKKOR 200.0-500.0 mm f/5.6E ED VR (≒ 300mm), ISO 220, F 11, SS 1/200 sec
そして最近のデジカメの高感度耐性は数年前より明らかに良くなっております。少なくともAPS-C機種以上のセンサーサイズならISO感度を上げるために身を切るような思いはする必要がなく、"feel free"に近い感覚でいいんじゃないかというのが本日のtake home messageです!普段から鳥とかスポーツとか動きモノを撮影している人には当たり前のことでしょうが、案外とISO感度は低い方が良いという呪縛があったり、そもそもISO感度を 上げ下げしないでブレブレになって困っている人も多いかと思い記事にしてみました。それでは今回はここで失礼します m(_ _)m
~関連リンク~
ちなみにISO感度は2倍にするとSSは1/2倍またはF値を2倍にしても同じ明るさになります。例えばISO 100, F 4.0, SS 1/125 secと「ISO 200, F 4.0, SS 1/250 sec」または「ISO 200, F 8.0, SS 1/125 sec」は同じ写真の明るさになります。この概念を「段」といいます。
動きモノを撮影するときは「マニュアル+ISOオート」設定も便利です。これはF値やSSという重要なファクターは自分で設定してISO感度はカメラに任せちゃうという発想です。