~Introduction~
こんにちは、Circulation - Cameraです。2021年も10月になって紅葉シーズン到来ですね!ただ、紅葉の撮影ってカメラの設定はなかなか難しいというかデリケートで、帰宅してから写真を見返して「あれぇ、もっと綺麗だったのになぁ」ってなること多くないですか??
例えば下の写真。現場では確かにうまく撮れたと感じたのです。しかし!帰宅してモニターを見ると、う〜ん、今一つ💦
(`・ω・´) < 絶対に皆さんもこういう経験ありますよね!?
なぜもっと綺麗だったのになぁと思うのか?それは多くの場合、色合いの再現が不十分だったり明るさが不十分だったりするからです。で、このくらいの微調整はRAW現像をはじめとする画像調整でだいたい解決します。上の写真もちょっと工夫すれば、ほらこの通り。
画像編集をする際に紅葉の時期に必ずといっていいほどお世話になるパラメータがあります。そうです、「彩度」のパラメータです。ということで今回は「彩度」について紅葉を題材に自分なりに語ってみたいと思います。興味のある方はよかったら見ていってやってください。それではよろしくお願いします m(_ _)m
~RAW現像じゃないとダメ?~
彩度や明るさの微調整くらいなら基本的にJPEGを編集するだけでもできちゃいます。ただRAW現像の方ができることの幅が大きいというか劣化が少ないので、明暗差の激しい場面なんかではRAWデータを記録しておいた方が有利です。例えば下の写真、なんだかいまいちな感じしません?京都の東寺で撮影したんですが実際はもっと煌びやかな印象だったのに。。。
けどRAWデータを編集すれば、、、
一見真っ暗な場所にも、
こんなにデータが残っています Σ(・□・;)
RAW現像はJPEG画像を編集するよりも無理なくいろんなことができます。なので微調整くらいならJPEG画像編集でやって結構大がかりな調整はRAW現像ってイメージでいいんじゃないでしょうか。
※「え?待って、RAW現像とJPEGの編集って違うの?」って人はまずこちらをご覧くださいませ m(_ _)m
~彩度の上げすぎに注意~
まぁ、いろいろ書きましたが紅葉写真の簡単な彩度や明るさの調整くらいならJPEG編集で充分だと思います。でも簡単ゆえに初心者が陥りやすい、中級者以上もついつい惑わされる罠がある!というのが今回のメインテーマです。
例えば上の写真。ついつい彩度を上げすぎるとこうなります。
並べてみましょうかね。
がっつり彩度を上げた方がインパクトがあり、今風に言えば「映える写真」なのかもしれません。しかし、空って本当にこんな絵の具のような色ですか?草紅葉ってこんなに濃い黄色でしょうか?そう言われてみると、ちょっと不自然に感じませんか?
〜別の作例〜
別の作例も提示してみましょう。千葉県の渓谷で撮影したショットです。
見ての通り下の写真は彩度をがっつりと上げています。自分としては敢えて彩度を上げない方が早朝の渓谷のシックな感じが表現できていて自然だと思います。
~違和感は鑑賞者次第~
なんとなく人間には彩度をつい高めに調整しがちな本能があるように思います ^^;
多分、「記憶している光景はもっと鮮やかだった!」という感覚があるからだと思います。最終的には鑑賞者が違和感を感じなければいいと思いますし、それは主観だから線引きはできませんが、彩度を上げすぎると現実離れしていくということは理解しておくべきだと思います。
さて、次は彩度の調整をするときのコツを1つお話しましょう。
~彩度は後で調整する!~
彩度を先に調整し、そのあと露出を調整すると彩度が変わって見えてしまいます。そのため彩度は割と最後に調整した方が良いです。どういうことか説明しますね。
例えば上の写真、くすんだ印象を受けると思いますがこれは彩度が乏しいからではなく露出が不足しているからです。先に露出を調整してみるとこうなります。
どうでしょうか。くすんだ印象は消えて彩度も十分だと思いませんか?彩度を先に調整して、それから露出を上げると思った以上にギラギラした感じになってしまい、改めて彩度を調整する羽目にあいます。彩度と露出は無関係ではないのです。
~色ごとの調整も可能~
ちなみに彩度を色ごとに調整することもPhotoshopやLight Roomで可能です。せっかくなので写真を1枚RAW現像してみましょう。
上の写真はJPEG撮って出しです。先ほどの項で説明したように彩度より先に露出を調整してみます。
空の青さがまだくすんでいますよね。さすがにもう少し彩度が欲しい。ここで彩度のパラメータを単純に調整すると下のようになります。空はちょうどいいかもしれませんが地表がギトギトです💦
そこでカラーミキサーで「青色」だけを選択して彩度を調整すると下のようになります。これなら地表の様子は自然ですね!
JPEG撮って出しの写真と現像後の写真を下に並べてみました。地表と空、それぞれに対して彩度を調整することができました。このように彩度は色ごとに調整できるということは知っておきましょう ^^
~「自然な彩度」と「彩度」~
ちなみにLight Roomには写真全体の彩度をコントロールするパラメータに「自然な彩度」と「彩度」があります。
「彩度」は全てのカラーの彩度を一律に上げたり下げたりします。一方、「自然な彩度」は彩度の低いカラーだけを調整できます。彩度の微調整には後者の方が向いているかもしれませんね。
~まとめ~
ということで今回の内容を3つにまとめてみます。
①紅葉の写真なんかを華やかにするのに彩度を調整することは有効ですが、やりすぎるとギトギトした不自然な結果になることがある。
②彩度の調整は露出の調整が終わってからする方が効率的である。
③多くのソフトで色ごとの彩度調整が可能なので必要に応じて活用しよう。
〜紅葉撮影:現場でできること〜
最後に紅葉撮影で現場でできることを3つほどアドバイスさせていただきます。
(1) PL-filterを使用しよう
PL-filterは葉の乱反射を押さえて紅葉の色合いをはっきりとさせてくれます。完全な逆光や順光でなければまず役に立ちますのでぜひ使用してほしいです。RAW現像でも葉の乱反射を調整することは不可能に近いので現場でやっておくべきことです。
(2) ピクチャーコントロールの活用
カメラのプリセット (NIKONではピクチャーコントロール、CANONではピクチャースタイルなど) でポートレートモードを選択すると暖色系に鮮やかにJPEGを仕上げてくれるので後から画像編集が比較的楽になる可能性があります。
(3) 後から調整できないことに集中!
とはいえ、最初に言いました通り、露出やら彩度はあとから割とどうにでも調整できます。特にRAW現像では。だからこそ現場では後からどうにもならないことに集中しましょう。構図、ブレ、ピント位置などです。
~おわりに~
ということで今回は紅葉を題材に彩度の調整についてまとめてみました。彩度は後からでも調整が効き紅葉写真の鮮やかさを引き立ててくれます。しかし、どうも人間には彩度をつい強めに調整しがちという本能があるようです。
あまりにも彩度高めな写真は時に不自然になってしまうことは理解しておいた方が良いと思います。意図して彩度高めにしているのか、それとも単にやりすぎなのかは写真の完成度に大きく響いてきます。
例えばこの写真はライトアップされた紅葉の鮮やかさを強調したくて敢えて彩度高めに現像した写真です。
一方、下の写真は彩度高めに現像しすぎたと感じた写真です。
これではやはり不自然だなと感じて下のように調整しなおしました。
今回の内容が今年も紅葉を撮影されるだろう皆様のお役に立てれば嬉しいです。それでは今回はここで失礼いたします m(_ _)m
~関連リンク~
関東の平地は12月上旬まで紅葉を楽しめますので、是非カメラをお供に楽しんできてくださいませ ^^
本文中にちょっと触れた、紅葉&PL-filterの作例であります。