こんにちは、Circularion - Cameraです。
今日は一眼レフやミラーレス機で、
風景写真をする際の
ピント位置について考えてみたいと思います。
まずこの写真をご覧ください。
この構図であなたが撮影をするとしたら、ピント位置をどうされますか??
焦点距離何ミリなのかとか、F値はいくつなのかとかは度外視して考えてみて下さい。
① 無限遠の富士山
② 手前の茶畑
③ 間をとって小屋
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もちろん正解のある問題ではありません (笑)
でもちょっと悩みませんか!?
また、実際に撮影現場で、
どこにピントを合わせようか
困った経験はございませんでしょうか??
今回はこの問題について考察してみます。
少し長い記事ですので、
興味のある方は時間のある時に
読んでやって下さいませ。
それではよろしくお願いします m(_ _)m
~先に結論を~
ちょっと長い記事ですし、あくまで持論交えての内容なので、読みにくいかもしれませんので、先に結論を書いてしまいます。
・風景写真を撮影するとき、「近景・中景・遠景」を意識すると構図を作りやすい。
・もしも近景や中景に主役級の被写体が配置できると構図をまとめやすいです。
・近景や中景に良い被写体が配置できたならそこにピントを合わせましょう。
※無論、敢えてぼかしたい場合は別です。
・なるべく多くの範囲にピントを合わせたいのなら、過焦点距離を計算するか、近距離から徐々にピントを遠方にやって、無限遠にもある程度がピントが合うようにすると良いでしょう。
~近景・中景・遠景~
まず初めに、私は風景写真を撮影するとき、「近景・中景・遠景」の3つの要素に分解して考えることが多いです。
作例を出します。
もちろん、どんな風景にもこの3要素があるとは限りません。
例えばこの写真は「遠景」の要素しかありません。
こういう時は基本的にピント位置に迷うことは無いですよね。遠方に (≒無限遠に) 合わせればいいのですから。
では、前景・中景・遠景と分解できる場合は、どこに合わせたら良いでしょうか?
~迷ったときには?~
結論から申し上げますと、原則的には近景または中景にピントを合わせると良いと思います。人間の脳は、遠くの被写体は多少解像感がなくても不自然に感じませんが、手前が意味もなくボケていると違和感を感じるのです。近景・中景をおろそかにして、いたずらに遠景にピントを合わせると、全体的に解像感のない写真だと感じてしまいます。
( ..)φメモメモ < これ大事!
なお、絵画の手法でも空気遠近法と言って、遠くのものを敢えて輪郭をボカして描くことで遠近感を醸し出す手法があります。
実際の作例を提示します。
この写真では手前の丸太にピントを合わせました。もしピントを合わせた先が無限遠で手前の丸太がボケていたら、かなり締まりの悪い一枚になっていたでしょう。一方、遠くの山がかすんだり、多少ボケていても案外気にならないものなのです。
下の写真も中景にピントを合わせています。
なお余談ですが、近景が草など動きのあるものなら中景にピントを合わせるといいですよ。せっかくピントを合わせても風などでブレてしまうことが多いので ^^;
なので、最初のクイズですが、私なら③の「間の山小屋」にピントを合わせようとするでしょう。
~構図を考えるうえでも役立ちます~
逆に風景写真の構図を考える場合にも、近景と中景のどちらかに主役になるような被写体を配置できるととても良いですね💡
経験上、そのようにできると風景写真はグッとまとまりますし、遠近感が出ます。
作例を提示します。
手前にインパクトのある岩を配置して、それにピントを合わせています。こうすることで単に浜辺と星空を撮影するより印象的な写真になります。
※この時に、もしも無限遠にピントを合わせて岩が解像感がなければ非常に締まりの悪い写真になります。一方、手前の岩にピントを合わせて、奥の松の木や街並みが多少ボケていてもあまり気にならないことがお分かりいただけるかと思います。
星景写真では、前景に敢えてピントを合わせて、星をボカシてあげるのも有効なテクニックです。前回載せたラクダの写真はそういう写真でしたよね。
~実際にどこからどこまでピントが合うの?~
ということで、私は風景写真を撮影するとき、なるべく近景・中景のいずれかを用意し、多くの場合は、そちらにピントを合わせるようにしています。
しかし、意図的にボカす場合は別として、さすがに遠景にもある程度ピントがあっていて欲しい時も多々ありますよね。
この写真は手前の草にピントを合わせていますが、奥の木もピントが合っていると見なせるように思います。では、どこまで近場ならピントが遠方にも合うのか?
これを説明する「過焦点距離」という概念があります。過焦点距離とは、これ以上遠くにピントを合わせると無限遠までピントが合うようになる距離を指します。
で、過焦点距離には計算式があります。
今日は計算式については深くは言及しません。以前、頑張ってまとめたことがあるので詳しく知りたい方はこちらを御参照下さい。
何にせよ、上の計算式を見ていただければ、使用しているレンズの焦点距離とF値が分かれば、過焦点距離は計算できることになります (厳密には撮像素子のサイズや画素ピッチも必要ですが、割愛します)。
~表にしてみました~
参考になるかもしれないので焦点距離・F値別の過焦点距離を表にしてみました。
この表の見方ですが、例えば、焦点距25mmのレンズでF5.6で撮影するとしたら、3.7m以上遠くにピントを合わせれば無限遠までピントが合うことになります。
また、焦点距離35mmのレンズでF2.8で撮影する場合は、14.6m以降にピントを合わせれば無限遠までピントが合う計算になります。
細かいことは言いませんが、焦点距離が短くなるほど (=広角レンズほど) 過焦点距離は短くなり、F値が大きいほど過焦点距離は短くなります。すなわち、パンフォーカスにしやすいことは常識ですが、知っておきましょう。
実際の写真を提示します。この写真は15mmの超広角で撮影しておりFは8で撮影しています。上の表を参照するならば0.9mより先にピントを合わせれば無限遠にもピントが合うことになります。なので、右手前の桜の木にでもピントを合わせておけば、奥のビルにも楽勝でピントが合いますよね。
※ただし、御注意を。この表は許容錯乱円を0.03と仮定しています。最近は高画素化しており拡大して画像を確認することも多いので結構甘めの設定です。
~なるべく広範囲にピントを合わせたい!~
理屈は省きますが、極力多くの部分にピントが合うようにするには、理論上は過焦点距離にピントを合わせると良いことになります。
体感的に御自身の使用する機材の被写界深度を理解できている方は問題ありませんが、そうでない方はどうしたらいいか?
もちろん、計算しても良いですが、実際の撮影では手前からフォーカスリングを回していって無限遠にピントが合ったと思った場所がそこだと考えて撮影すると楽ですよ💡
この写真はその方法でピントを合わせました。かなり手前から奥までピントが合っているとみなせると思います。
~私の結論!~
ということで、なるべく多くの範囲にピントを合わせたければ過焦点距離にピントを合わせればベストという事になります。理論的には。
ただし!
前半でお話ししたように、近景・中景にピントがきちんと合っていた方が解像度の高い写真だと人間は感じます。なので、手前に印象的な要素を配置できるなら、そちらにきちんとピント合わせをした方が良い結果になることが多いと思いますよ。
この写真では手前の桜にピントを合わせて撮影しています。近景である桜が、ちょうど無風で揺れていなかったので、これを活かさない手はありませんよね!
※15mmの超広角レンズですので、結果的に無限遠のビルにも大体ピントは合っています
星景写真なんかは、むしろ星空は少しぼかして星を大きく見せたりしますしね。
~おまけ:被写界深度合成~
最後に、被写界深度合成という技法もあります。自分は使用したことないのであまり言及できませんが、近景・中景・遠景それぞれにピントのあった写真を用意し、あとで合成する方法です。
最近のカメラの中では、撮影時に合成ができるカメラもありますので、完全にパンフォーカスの写真を撮影したい場合には今後重宝する可能性があります。
~本日のまとめ~
・風景写真を撮影するとき、「近景・中景・遠景」を意識すると構図を作りやすい。
・もしも近景や中景に主役級の被写体が配置できると構図をまとめやすいです。
・近景や中景に良い被写体が配置できたならそこにピントを合わせましょう。
※無論、敢えてぼかしたい場合は別です。
・なるべく多くの範囲にピントを合わせたいのなら過焦点距離を計算するか、近距離から徐々にピントを遠方にやって、無限遠にもある程度がピントが合うようにすると良いでしょう。
~おわりに~
今回は風景写真に於いて、どこにピントを合わせるといいか考えてみました。
繰り返しになりますが、正解がある問題ではありません。
しかし、スマホと違って一眼レフやミラーレス機の場合、ボケ量も大きく、「どこにピントを合わせるか」あらかじめ考察していないと現場で混乱することは十分に考えられるため敢えて記事にしてみました。
ご質問やご指摘がございましたらコメント欄にお願いいたします m(_ _)m
長い記事でしたが、お付き合い下さりありがとうございました。
また遊びに来てくださいね
それでは今日はこのあたりで失礼します m(_ _)m