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趣味でカメラやってます。Nikonユーザーです。

【PFレンズとは??】AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRが発表されました

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ちょっと前のことになりますが、NIKONから新レンズの開発が発表されました

「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR

フルサイズ対応で焦点距離500mmでF5.6スタートのレンズです。

今日はこれがどんなレンズなのかちょっと見てみましょう。

PFレンズという技術が採用されているのですが、せっかくなのでそれについても途中に説明を挟んでみたいと思います ^^

なるべく簡単にまとめたつもりですが、私の文章力不足のため、PFレンズの説明部分はちょっと小難しくなってしまいましたので、興味のある方は時間のある時に読んで下さると幸いです。それではよろしくお願いします m(_ _)m

※本日乗せた写真や図は自作したものか、NIKONホームページまたはWIKIPEDIAから引用したものです。

 

~小型軽量化~

さて、このレンズ最大の特徴は、レンズ名に入っている「PF」という部分にあります。PFとは位相フレネルレンズ (PF = Phase Fresnel) を使用しているという事です。

で、その位相フレネルレンズが採用されると、どんなありがたいことが起こるかと言いますと、レンズの小型軽量化が可能になります

 

NIKONの500mm単焦点レンズと言えばAF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR、通称ゴーヨンが代表選手でしょう。非常にシャープな写りで極めて評判が良いレンズです。しかしその反面、実に重く、そして高価でもあります💦

重量は約3kgで全長は40cm

実売価格は100万円程度

 (;・∀・) < WOW

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いやはや、なかなか手が出ないレンズですね ^^;

さて、そんな色んな意味でマッチョなゴーヨンと比較して、今回のAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR開放F値が5.6ですから1段暗くなっていて、PFレンズを採用しています。そのため、小型軽量化しつつ値段も抑えられていることでしょう

 

実はこれまでも似たような例がありましたので、見てみましょう。2015年に発売された

AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR (通称、新サンヨン) は実際にPFレンズを採用したレンズです。これよりも1段明るいAF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II (通称、サンニッパ) を比較してみます。

この表をご覧下さい。

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値段も重さも、明確に違いますよね

(`・ω・´)b

なので、AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRゴーヨンと比較して、かなり小型軽量化して、お値段も抑えられていることが期待できます。

 

 

~PFレンズって何?~

さっきから「PFレンズ」って言ってるけど、いったい何なの?

という方々のためにちょっと解説を挟んでみます。私もレンズ屋さんではないので、詳しいわけではないのですが、簡単にPFレンズ (= 位相フレネルレンズ) の仕組みを御紹介します。

簡単に言えば、「ギザギザの構造をレンズに与えることで、回析現象が発生し、色収差の補正をしやすくしたので小型軽量化につながった」というものです。

 

<以下、説明です>

そもそも凸レンズに光が侵入すると、波長ごとに光の屈折率が異なるので色が分散します。なので、一点で焦点を結んでくれません。

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結果、色が滲んでしまい、クリアな画像が得られません。こうした「滲み」を色収差と言います。下の写真はWIKIPEDIAから引用しましたが、色が滲んでぼやけている様子が良く分かります。

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この色収差を取り除くために、凹レンズや異常分散ガラスを使用して調整するのが基本的な考え方です。下の図を御参照下さい。するとどうしても複数の色消し用レンズが必要になってしまい、レンズ設計に制限がかかるのですが、PFレンズを採用することで、この問題が解消されます。

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そんな魔法のようなPFレンズはどういうレンズなのかといいますと、表面に同心円状のギザギザの加工がなされています。

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このギザギザを通過するとき、「回析」という光の性質により、このギザギザ面で光の一部が曲がるのですが、曲がり方が上記した色別の光の曲がり方の逆になります。そのため、これを組み合わせることで、凸レンズ群だけで色収差をかなりコントロールできることになります。下の図が分かりやすいと思いますので御参照下さい💡

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このように、凸レンズ群だけでかなり収差を補正できますので、別のレンズでの収差補正の必要が小さくなりレンズ設計に自由度が増します

( ..)φメモメモ

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結果、PFレンズを採用することで、小型化軽量化できるという理屈です。

※なお、蛇足的ですが、あくまでレンズ設計や、選択する構成レンズの大きさ・比重の自由度が増したことで小型軽量化したのであって、構成レンズ枚数が減ったことだけで小型軽量化したのではありません。

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ということで簡単にまとめますと、「ギザギザの構造をレンズに与えることで、回析現象が発生し、色収差の補正をしやすくしたので小型軽量化につながった」ということです (もし御指摘がございましたらコメント欄によろしくお願い致します m(_ _)m)。

 

 

~PFレンズの欠点~

このようにPFレンズは小型軽量化できるため非常に注目されている技術です。しかし、一方で、PFレンズは独特なフレアが発生することで有名です。逆光耐性は課題と言えるでしょう。

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~AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRの立ち位置~

そもそも500mm単焦点でf5.6というスペックは、いくら小型化ができるとは言っても結構ニッチなスペックであることは事実だと思います。また、ゴーヨン以外にも、既存のレンズにライバルとなるレンズが複数ございます。

例えば、私も愛用しているAF-S NIKKOR 200-500mm f5.6E ED VRの望遠端とスペックだけ言えば同じになります。ズーム機能を捨てて小型化したとも言えますが、多くのユーザーにとって、ズーム機能は捨てるには少々もったいない便利機能でしょう ^^;

また、新サンヨンにTC1.4を装着しても、軽量な420mm f5.6になるのですから、これと比較して描写面や逆光耐性やオートフォーカス性能がどう改善されたかという点も重要です。

こういったレンズを出し抜くような実力 (とある程度常識的な値段) であれば、小型軽量で野鳥撮影・スポーツ撮影などに重宝されるだろうと思います。また、APS-C機に装着すると疑似的に750mm f5.6となりますので、D500などAPS-C機との相性も大変良好でしょう。

最後になりますが、レンズに限らず機材の小型軽量化は多くのユーザーに歓迎される変化だと思います。しかし、描写性や取り回しの良さを犠牲にしては、これだけニッチなスペックのレンズの購入層には十分に受け入れられないと考えます。実際にPFレンズはまだ開発の途上にあるレンズ群です。さぁ、一体どんなレンズになってくれるのか、興味と期待をもって待っていたいと思います ^^b