Circulation - Camera

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【中級者向け、カメラの考察】風景写真の構図、空をどれだけ入れるのか問題

こんにちは、Circulation - Cameraです。今回のテーマは風景写真の構図です。風景を撮影しているときって、どこまで空を構図に入れるか悩みませんか?

例えば、、、

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地上多めと空多め、どちらがお好みですか??

どちらが正解というわけではありませんが、だからこそ悩みがちなこの問題。ある程度頭を整理しておくのは悪くないと思いますので、今回はこれについて自分なりに考察してみたいと思います。一眼にもコンデジにもスマホにも当てはまるissueですし、ご興味のある方はのんびり読んでやってくださいませ〜 m(_ _)m

 

~基本は三分割~

基本になるのは安定の三分割構図だと思います。空/地上の比率が2:1なのか1:2なのかは置いておいて、まぁ安牌です。落ち着いた印象を与えてくれます。実際に写真を見てやって下さい。

<空:地上 = 2:1の作例>

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<空:地上 = 1:2の作例>

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言わんとしていること、伝わりますでしょうか?

三分割構図は落ち着いた印象を与え、無難です。

ただし!!

ややもすると記念写真的な感じになってしまうかもしれません。

 

~どう崩すのか?~

では空の部分はもっと広く使うのか、逆にもっと詰めるべきなのか。結論から言えば、たいていの場合は詰めてしまって良いと思います。実例を出してみましょう。例えばこの写真は三分割構図的な配分で空を大きく構図に入れています。

(`・ω・´) < 三分割通り越して1:1に近い気もしますがね。

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これはこれで雪原の白さと青空の対比が綺麗ですしバランスも悪くないと思います。しかし、ここまで空のために大きくスペースを割かなくても「青空というメッセージ」は伝わるということも知っておくべきです。

例えば次の写真を1秒間だけ見て、次の質問に答えて見て下さい。

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Q.) 今の写真、空は晴れていましたか?曇っていましたか?

答えは「晴れ」でした。実際のところは晴れの日と曇りの日では地上への光の当たり方も違いますので空の様子以外の要因でも晴れという印象が得られます。しかし、重要なのはこの写真でこれ以上空を入れる必要はなく、入れれば入れるほど余白になってしまうということです。

先ほどの雪原と青空の写真も極論、下の図くらいトリミングしても鑑賞者が得られる情報量は変わらないのではないでしょうか。少なくとも写真として成立します。むしろ雪面の様子により眼が行くようになった気さえします

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別の例も挙げてみます。下の写真も三分割構図よりも空の部分を詰めています。空:地上 = 1:5くらいの比率でしょうか。これでも充分状況は説明できていますし、これ以上空を構図に入れるのはスペースの無駄使いになるかと思います。

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~ここまでのまとめ①~

・三分割構図は風景写真の基本であり安定感のある落ち着いた印象を与えてくれますが無難すぎて記念写真的になってしまうこともある。

・空を大きく構図に入れたことで余白のようになってしまう場合があることを知っておくべき。空を詰めても充分に情報が伝わるのなら詰めてあげた方が良い

===>

青空というものは美しいものです。それゆえについつい構図に大きく入れてしまいがちです。結果、三分割構図になってインパクトを出せなかったり二分割構図になって何が言いたいのか良く分からなくなったりするというのは初心者に陥りがちな罠だと思います _φ(・_・

 

 

 

~空は一切入れないという選択肢~

さて、空を構図に敢えて入れないということすら考えるべき場合があります。これは特に曇りの日に考慮すべきと思います。例えば下の写真をご覧ください。がっつり曇り空です。三分割にも遠く及ばない程度の空の比率に納めています。これ以上空を大きく入れると余白が大きくなってしまうのは自明です。特に曇り空は白飛びしやすく、ハイライト部に視線は引っ張られるのであまり構図にガッツリ入れたくないのが一般的です。

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ならばいっそ空は完全に切って印象的な滝や川にクローズアップするのもありです。もちろん、上の写真と下の写真ではメッセージが全然違うわけですが、敢えて風景写真で「大胆に空は切るという視点」も持っていた方が良いと言いたいわけです。

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ただ、逆に言えば曇り空に表情があるのでしたらそれは活かす価値があるかもしれません。曇り空=切るべきという短絡的な考えに取り憑かれると思わぬ見落としをしてしまうかもしれませんので、ご注意あれ。

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あくまで余白をいたずらに作らないようにするということが重要だというのが自分の意見であります。

 

 

~空を大きく入れたい時もあるよね?~

さて、「空をやたらに構図に入れすぎるんじゃない!」と、ここまでまるで空を目の敵にしたような主張になってしまいました ^^;

先ほども言いましたが、空とは大きく美しいものです。故に構図の中で面積を大きく取ってしまい結果的に余白を大きくしてしまうということにならないように注意したいですね、という話です。

ですけど、空は大きくて美しいのです (笑)!!そんな空を構図の大部分で埋めた方が成功することもたくさんございます。そんなパターンを2つ挙げてみましょう。

(1) 空が美しすぎるとき!

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空が圧倒的な美しさと表情を持っている場合、余白になることなんて絶対にありません。そう、空そのものが主役たる表情を持っているのなら、その魅力を最大限に引き出すためにがっつりとスペースを割くことを躊躇する必要はありません。

(2) 空の広さを表現したいとき

空というのは絶対的に広いものです。気持ちの良い、どこまでも広がる青空や星空を写真で表現したい時もあるでしょう。

DSC_3928のコピー

ですが、ここで注意点というか初心者の陥りやすいミスを1つ紹介しましょう。それは空と風景だけですと「広さ」というものはうまく表現できないということです。これは広角レンズが苦手という初心者に特によくみられるピットホールです。例えばこの写真をご覧ください。

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15mmの超広角レンズで広い苔むした大地と空を三分割構図で撮影しております。なんとも無難な印象ですよね〜 ^^;

ぶっっちゃけ、何にも伝わってこないと思います。自分で撮っておいてなんですが (笑)

ここはですね、実は360度どこまでも続く、アイスランドの苔むした印象的な場所なんですが、残念ながら全くそんな情報は伝えられていないと思います。

超広角で広い風景を撮っただけでは広さは伝わりません!そうしたければためには人や車のような比較対象を入れるのが実は正解なのです。

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この写真は焦点距離21mmの超広角レンズで撮影した写真です。空に大きくスペースを取るだけでなく、人間を配置することで始めてスケール感が出ます。人を敢えて写していない場合を想像して下さい。全くスケール感を感じられないはずです。

下の写真も人を配置することで広い空を表現した構図です。

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~最後に:解放感と緊張感~

最後にもう1つ、空に大きなスペースを割くのか、それとも空を詰めるのか考える時に参考になることを記載しておきます。それは開放感と緊張感です。空を広く使うことで写真からは開放感を感じられます。一方、空の要素を詰めると緊張感や圧迫感を与えやすくなります。

<開放感>

写真の中の空の範囲を大きく取ることで開放感をアピールできます。

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<緊張感・圧迫感>

空の成分が少ないと緊張感や圧迫感を伝えやすくなります。

DSC_4159_00001_01のコピー


 

~まとめです!!~

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・三分割構図は風景写真の基本であり安定感のある落ち着いた印象を与えてくれますが無難すぎて記念写真的になってしまうこともある。

・空を大きく構図にいれたことで余白のようになってしまう場合は空は詰めてあげた方が良い。いっそのこと構図に空を入れないという選択肢もある。

・逆に空を大きく構図に入れてあげたい時は以下のような場合である。

① 空の印象が非常に強い場合

② 空の広さや開放感を表現したい場合

・ただし単に空と風景を写しただけではスケール感は伝わりませんので人物や建物など比較対象を意図的に構図に入れるといいでしょう。

・一般に空を広く構図に入れると開放感を、空の部分を詰めておくと緊張感や圧迫感を鑑賞者に与えることができます。

 

 

~おわりに~

以上、風景写真を撮る場合にどのくらい空を構図に入れるかを考察してみました。実際に風景写真を撮影しているとどこまで空を入れたらいいのかって結構悩みがちな問題だと思います。

例外はたくさんあると思いますが、今回の記事を書くことで自分は考えをまとめることができましたし、これを読んで下さったどなたかの参考になってくれたら幸いです。それでは今回はここで失礼いたします m(_ _)m