「フルサイズの方がAPS-Cよりもボケる」
こんなフレーズを聞いたことがありませんか?
これは間違ってはいません。
センサーサイズは大きくなるほど結果的にボケやすくなるのですが、今回はこれについて説明してみたいと思います💡
ちょっと小難しい内容なので、興味のある方は時間がある時に読んでやって下さい^^;
※その前にセンサーサイズについて確認です。センサーサイズって何だっけという方はこちらの記事の序盤だけでもご覧ください♫
~先に結論を~
少々説明が長くなるので結論を先に書いておきます^^;
「フルサイズセンサーは同じ場所から同じ構図を狙うときに、より焦点距離の長いレンズが要求されるのでボケやすい」
です。
それでは、よろしくお願いします m(_ _)m
~イメージサークル~
まず前置きとしてイメージサークルという概念をお話しします。
関係ないようですが、大事な話なのでお付き合い下さい💦
さて、当たり前ですがレンズは丸いのでレンズを通ってきた光も丸いです。この円 (の中で実用に耐えうる部分) をイメージサークルと言います💡
でも出来上がる写真が四角なのはイメージサークルの一部を撮像素子 (以下、センサー) が切り取っているからです (`・ω・´)
図説してみます。
レンズを通ってきた丸い光 (= イメージサークル) をセンサーが切り取っているというのが伝わりますでしょうか?
当然ですが、センサーサイズがイメージサークルよりも大きければ 四隅が写りません。
これをケラレといいます。
そして、このイメージサークルの大きさはレンズによって決まります💡
勘の良い方なら既にお気付きでしょうが、「フルサイズ用レンズ」と「APS-C用レンズ」の違いはここにあるのです。APS-C用レンズの方がイメージサークルが小さいのです。
ここからわかるようにフルサイズ用のレンズはAPS-Cセンサーでも問題なく使えます。
逆にAPS-C用のレンズはフルサイズセンサーでは四隅がケラレてしまいます。
~センサーサイズが小さいと疑似望遠効果が得られる~
同じレンズを使用したとき、センサーサイズが小さくなると疑似望遠効果が得られます。お絵かきしてみたので見てやってください💡
下手な絵ですいませんが、このように左下の写真は右上の写真を拡大したようになります。この倍率は、
・APS-C (NIKKON) では1.5倍
・4/3センサーでは約2倍
・1インチセンサーでは2.7倍
です。
~ここまでのまとめ~
・レンズによってイメージサークルの大きさは決まっていて、センサーはレンズを通して入ってきた光の一部を四角形に切り取っています。
・センサーサイズが小さいとイメージサークルのより小さい範囲を切り取るので疑似望遠効果が得られます。
〜35mm換算、フルサイズ換算〜
この2つの言葉は同じ意味です。
これ、カメラを初めて買うとき意味不明だったんですよね^^;
要するにこれは、先ほど説明した倍率で補正した数値を指します💡
これは具体例を挙げた方が、絶対分かりやすいです!
例えばAPS-Cセンサーを焦点距離50mmレンズで撮影すると、35mm換算では50 x 1.5 = 75mmになります。つまり「APS-Cセンサーに対して焦点距離50mmのレンズを使用すると、あたかも75mmのレンズを使ったかのように、ちょっと望遠された写真になりますよ」という意味です。
ここ大事ですよ!!(/・ω・)/
~フルサイズの方がボケる~
実は「フルサイズの方がボケる」というフレーズに対する回答はここにあります。
唐突ですが、ボケ量を決める因子は以下の4つの要素です。
フォトマスター検定でも頻出です (`・ω・´)b
① 被写体との距離が短いほど被写界深度は浅くなる (=ボケる)
③ レンズの焦点距離が長いほど被写界深度は浅くなる (=ボケる)
④ (今回は省きますが) 最小錯乱円という要素
※ちなみに被写界深度とはピントが合っていると見なせる厚みです。「被写界深度が浅くなる ≒ よりボケる」と思っていただいて結構です。
仮に「同じF値」で「同じ構図で同じ撮影距離」で撮影するとしましょう。つまり①も②も同じ条件なら、ここまでの説明で分かるように、フルサイズの方が焦点距離の長いレンズを用意しなくてはならないので、③を考えるとよりボケることになります!!
実際にやってみましょう。
下の写真は同じ絞り値で同じ被写体を同じ距離から撮影しています。
違うのは「使用しているレンズの焦点距離」です!
※まぁ、本当はメーカーもレンズ構成も違うんですが、そこは眼を瞑ってやって下さい^^;
【↓APS-Cセンサーで焦点距離90mm VS フルサイズセンサーで焦点距離135mm↓】
D7100 + Tamron 90mm (ISO 100, F3.2, SS 1/15sec)
D810 + ApoSonnar 135mm (ISO 100, F3.2, SS 1/15sec)
アウトフォーカスの一部を摘出してみましょう。
一応、後者のフルサイズで撮影した方がボケているって納得していただけますか^^;?
ほら、APS-Cの方が左下の緑のロゴが6角形なのが分かりますが、フルサイズの方では形がわからないでしょう?
これだけです!フルサイズの方がボケる意味!!
~フルサイズ最強?~
まあ、実験ではあんなものですが実際使用するとフルサイズはよくボケます💡
それに加えて、一般的にセンサーサイズが大きくなるほど高感度耐性に優れ諧調性が良くなります。
なんだ、フルサイズ最強じゃないか ( ゚Д゚)!
と、思うかもしれませんが弱点もあります。
(弱点1) 高価でかさばる
フルサイズ対応レンズもフルサイズセンサー搭載カメラも、一般的にAPS-C用レンズなどよりも高価で重量級です。
(弱点2) ボケすぎる
そもそもボケることは至高ではありません。ボケすぎが仇になることもあります。
自撮りとかしにくいですよ( ̄▽ ̄;) こういうのはスマホやセンサーサイズの小さめなコンデジに軍配があがります。
実際に比べてみます。
フルサイズでF 2.8で撮影したのがこれです↓
一方、iphoneで撮影したのがこちらです↓
手前の瓶も、奥の瓶もラベルを確認できます💡
〜まとめ〜
今回のお話のまとめです。
・レンズによってイメージサークルの大きさは決まっていて、センサーはレンズを通して入ってきた光の一部を切り取っています。
・センサーサイズが小さいとイメージサークルのより小さい範囲を切り取るので疑似望遠効果が得られます。
・その倍率はAPS-Cセンサーだと1.5倍です。例えば、焦点距離50mmのレンズをAPS-Cで使用すると、あたかも焦点距離75mmのレンズを使用したような写真になります。
・そのため、同じ位置から同じ構図を切り取る場合、使用するレンズの焦点距離がフルサイズの方が長くなります。これ大事!(/・ω・)/
・そしてその分、フルサイズセンサーはボケやすいということになります。
どうでしたか?
小難しい話ですが、時々話題になる内容ですし、フルサイズへの移行を考えている方の参考にもなるかもと思い、この際に一挙説明してみました(`・ω・´)b
あと、誤解のないように明言しておきますが、「あくまで同じ撮影条件ならフルサイズの方がボケる」のであってAPS-Cセンサーや4/3センサーだって、充分にボケますから「フルサイズにあらずんばボケにあらず」ではありません!
〜最後に〜
最近はフルサイズフォーマットもミラーレスで採用されたり、フルサイズ一眼レフの値段も下がったりしています。
より身近になって移行を考えている方も、自分の周りでも良くみかけます♪
そんなフルサイズの特徴ではあるものの、ちょっと分かりにくい「ボケやすさ」について御紹介致しました!
とはいえ、こんなオタクな話を読んで下さって本当にありがとうございます。
で、もし「わかりにくい!」って所があったら教えて下さい💦
なるべく頑張って書いているつもりなのですが、ここ数日間、ほとんど自宅に帰っていないほど仕事が子忙しくて^^;
それでは今回はここで失礼します。
これからもよろしくお願いいたします m(_ _)m