マニアックなビールの話の次は、手振れ補正の話です。
多くのカメラに採用されていて、オートフォーカス同様になじみのある機能です。今回はその機序について語ってみます。
先に手振れ補正の種類を紹介しましょう。
(1) 光学式手振れ補正
①レンズ内手振れ補正
②カメラ内手振れ補正
(2) 電子式手振れ補正
ややこしいでしょうか?でもそんなに難しい話じゃないので興味のある方は読んでやって下さいな~。
(1) 光学式手振れ補正
簡単に言うと、手振れを検知して、それに抗うようにレンズや撮像素子 (センサー) を動かして手振れを補正することをいいます。
(2) 電子式手振れ補正
簡単に言うと、写真を撮影する際にシャッタースピードの速い写真と遅い写真を同時に撮影して、カメラの中で2枚を比べていい感じに修正する方法です。
シャッタースピードが遅いと手振れするので、それを逆手にとってわざとさせちゃうわけですね。
※引用:http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1112/19/news007.html
従って、電子式の場合、同時に2枚の写真を撮影したり、カメラ内で補正するので画質は劣化します。また、2枚の写真を比べたりするので処理に時間がかかります。
対して光学式では原理上は画質劣化しませんし、タイムラグはありません!
で、上述したように光学式にもレンズを動かして手振れを防ぐ方法と撮像素子を動かして手振れを防ぐ方法とがあります。
①レンズシフト方式
レンズ内に組み込まれたジャイロセンサーがブレを検知して、そこからブレの方向と速度を瞬時に演算して補正用のレンズをそれを打ち消すように駆動して手振れ補正を実現する方式です。
②センサーシフト方式
カメラ内の角速度センサーで同じくブレを検知してイメージセンサーを打ち消す方向に動かす方式です。
※引用:http://www.tdk.co.jp/techmag/knowledge/200610/index2.htm
従って、センサーシフト方式の場合、手振れ補正機能のついていないレンズでも手振れ補正の恩恵を受けられます。
ただし、一眼レフのファインダーを覗いているときに効果を実感できません。
実際に手振れ機能搭載のレンズを構えてシャッターボタンを半押ししてみてください。「スッ」と 手振れがおさまるのが実感できるはずです。
ちなみに最近のキットレンズにはほぼ手振れ補正がついていると思います。
※NIKONだとレンズ名にVRって入っているのが手振れ補正の証です (Vibration Reductionの略です)。
ちなみにiPhoneは7から光学式手振れ補正が採用されているらしいですよ (6plusにも採用されているのかな?)💡
~1/焦点距離ルール~
で、これは今日から使える豆知識です。カメラ好きならみんな知っていることなのでドヤ顔していうことではありませんが、ご自身のカメラってどのくらいのシャッタースピードから手振れするか知っていますか?
手振れは望遠レンズになればなるほど生じやすくなります。
古典的には1/焦点距離より遅いシャッタースピードで発生するといわれています!
例えばこの間記事にしたApo Sonnar 2/135mmは焦点距離135mmですからシャッタースピード 1/135 sec以下でシャッターボタンを押すと手振れします。
一方、Distagon 2.8/15mmは15mmの超広角レンズですからシャッタースピード 1/15 secまでは手振れしないということになります。
例えばこの写真は135mmの焦点距離で1/125 secというシャッタースピードで撮影していますから、理屈上ギリギリということです。
ただし、最近のデジカメは高画質なので感覚的にはもっとシビアで、個人的には最低でもその1/2のSSは確保したいです。
例えばApoSonnar 2/135mmでは手持ちの場合、なるべく1/250 secは確保できるよう注意しています。
※まあ、上の作例ではできていないわけですが^^;
さて、手振れ補正があればこのルールがいい意味でくつがえります💡
例えばこの写真、厳密にはちょっと手振れしていますが、焦点距離200mmでシャッタースピード1/10 secでこのクオリティーです!
本来は1/200 sec、可能なら1/400 sec必要なのに。。。
手振れ補正って素晴らしいとおもいませんか?
~基本的な補足事項~
(1) マクロになればなるほど手振れは目立ちますので「1/焦点距離」ルールはあてはまらなくなります。
(2) 基本的なことですが、シャッターボタンを押すときには「ふわっと」押すように心がけ、脇を締めて安定した姿勢で撮影するように気を付けてください。
(3)シャッタースピードを稼ぐためにはISO感度を上げるかf値を下げるかの2つの方法しかありません!
(4) これでも充分なシャッタースピードが稼げないなら三脚に据えるとかが必要になります。ちなみに三脚に載せるときには手振れ補正はoffにしましょう。逆にぶれることがあります。
(5) あと、手振れと被写体ブレは全くの別物です!被写体の動きを止めるにはさらなるシャッタースピードが必要ですがケースバイケースすぎるのでルールはないです。
※私見としては動きのある被写体を止めるなら1/1000 secは必要で可能であれば1/2000 secや1/4000 secが欲しいと思っています。
例えばこの写真は1/1600 secです。水が止まっていますね。
これも1/1600 secです。
このメジロは1/3200 secです。
※もっと望遠のレンズが欲しいなあ。。。
~まとめです!~
いかがでしたか?
オートフォーカス同様に身近な機能、手振れ補正!
そこには光学式と電子式があり、光学式の方が画質が良好です。
光学式にも手振れを検知して瞬時にそれを相殺するようにレンズを動かして補正する方式と撮像素子を動かして補正する方式とがあります。
オートフォーカスの時にも書きましたが、こんなことを瞬時にやってのけるカメラってすごい!と感動した記憶があります。
ただ、それでも手振れしないようにする1/焦点距離ルールは知っていて損はありません。
また、手振れと被写体振れの違いを混同している方が多いので、「へ~」って思われた方は是非覚えていってくださいね!
少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。
これからもよろしくお願いします!
~マニアックな捕捉~
フォトマスター検定とかで聞かれそうな話題なので記載しましたが、マニアックですからスルーしてください^^;
・手振れ補正の基本はXY回転補正です (2軸補正)。さらにZ軸回転補正、やXY水平補正が近年組み込まれてきました。これを5軸補正といいます。
※引用:http://www.kitamura.jp/shopping/ichioshi/2013/olympus_pen_e-p5.html
・レンズ内手振れ補正はZ軸回転の手振れ補正はできません。また、多くのレンズ内手振れ補正は2軸なので手振れ補正効果はカメラ内手振れ補正の方が一般的に強いです。補正効果がレンズ内は4段程度。カメラ内は5段を謳うものもあります。