こんにちは、Circulation - Cameraです!
今回は「ハーフNDフィルターを実際にどうやって購入したらいいか」を記事にまとめてみました。ハーフNDフィルターとは、下の写真のように半分が減光仕様になっているフィルターで、レンズの前面に装着することができます。
風景写真撮影の強力な味方で、私もいろいろな場面で非常に重宝しています。
例えばこの写真はハーフNDで街の明かりだけを減光しています。これによって、星がたくさん写るように設定しても街が白飛びしていません。
また、この写真の場合ですと、朝日を減光して白飛びを防いでくれています ^^
しかし!!!
いざ購入しようと思っても、ハーフNDフィルターは一般的なNDフィルターやプロテクトフィルターと違って「角型」です (角形でないものもありますがメジャーではありません)。そのため、レンズとフィルターをつなぐ「フィルターホルダー」が必要だったり、会社によって規格や表記が違っていて、、、
超ややこしいんです! (-_-;)
そして、いざ買おうとしてもまとまった情報が案外ネットに落ちていないんです。
今回はとても長い記事になってしまいました。5000字以上で図も多いです。
ですが!!
この記事ではハーフNDフィルター購入時に必要な知識を網羅的にまとめましたので、少なくとも私は、購入前に、こんな記事があったら本当に助かったと思います!
これからハーフNDフィルターに挑戦したい方のために、気合入れて書いたので、どうぞよろしくおねがいします。
※以下、ハーフNDフィルターは「HNDフィルター」と表記します。
~HNDフィルターの選びかた~
HNDフィルターを購入するときは、
① HNDフィルターの種類
② レンズにHNDフィルターを装着するアタッチメント
を選ばなくてはいけません。
順序だてて解説していきますので御安心ください ^^
~HNDフィルターの種類~
さて、あなたがこれからHNDフィルターが欲しいとして、どんなHNDフィルターがあるか知らなくてはなりません。以下の3つの項目に着目して選んでみましょう💡
(1) ノーマル or リバース
いずれもフィルターの半分が減光仕様になっていますが、ノーマルタイプはこのように中心に行くにしたがって濃度が薄くなっていきます。
一方、リバースタイプは中心から外型に向かって濃度が薄くなっていきます。
これからHNDを始めたい方には、とりあえずノーマルタイプをお勧めします。
ちなみにこれまでLEE, NISI, KANIにはリバースHNDフィルターがあって、COKINには無かったのですが、2018年6月からラインナップに加わりました。
ちょっと脱線します、というか後で改めてご紹介しますが、HNDのメーカーは、
・LEE
・COKIN
・NISI
・KANI
の4社が代表的です (あとは国産のMARUMIのH&Yフィルターも時折みかけますね)。こんな簡単な情報すら、ネットでも意外とまとまっていなくて驚かされます ^^;
(2) 減光の度合い
さて、話を戻します。ノーマルHNDにせよ、リバースHNDにせよ、次にどのくらいの減光具合のものを選ぶのかという話になります。実はこの減光具合の表記も通常のNDフィルターとHNDフィルターでは異なるのです!
面倒くさいでしょ!?
›通常のNDフィルターだとND4, ND8, ND16, …, ND 1000などという表記をします。ちなみにND4というのは光を1/4通してくれるということ。したがって、数字が大きくなるほど減光効果は強くなります。
一方、HNDは「ND4」のように表記されず、「ND0.6」のように表記されます。これは以下のような対応関係になっています。
表に示したように、HNDフィルターは0.6, 0.9, 1.2 (要するにND4, ND8, ND16) の3種類が主流です。というかその3択しか見たことがありません。個人的には0.9がおすすめです。ちょうどいい減光効果で多くの場面で使用できます ^^
(3) 境界線の固さ
(= グラデーション)
最後に、境界線の固さを選びます。メーカーによって表現は微妙に違いますが、
・ソフト
・ハード
のように分類されます。ソフトは境界線がふんわりしていて、ハードはくっきりしています。初めてHNDフィルターを購入するのなら、ソフトが使いやすいかなと思います。
さて!
ここまでを図でまとめます。
<実際に選んでみましょう♪>
こちらはKANIさんのHPから抜粋して参りました。ここまで読んでくださったあなたならどういう特徴のHNDフィルターか、もうわかりますよね ^^
<私のおすすめ>
ということで、漠然とHNDを試してみたいという方には、ノーマルタイプ、ハーフND0.9、ソフトタイプが無難な選択肢だと思います。
※一方で用途が決まっている方はそれに合わせて選んでください。例えば都市星景が主目的ならHND1.2のような減光効果が強いものがおすすめですし、花火撮影程度の減光ではHND0.6のリバースタイプが使いやすいとでしょう。
~フィルターのサイズ~
さて、最後にレンズに合わせたHNDフィルターのサイズを選ばなければなりません。通常のNDフィルターであれば、装着しようと思っているレンズのフィルター径で選びますよね?
しかし、HNDフィルターは角型なので表記が根本的に違います💦
多くのメーカーが以下の3種類をラインナップしています。
・スモールサイズ (75mm程度)
・ミディアムサイズ (100mm程度)
・ラージサイズ (130mm, 150mm, 170mmなど)
なんだか飲み物やポテトのサイズのようですが、HNDフィルター選びの非常に大切な項目です。カッコ内に示した「~mm」というのは角型フィルターの短辺の長さです。
当然、広角レンズであるほど大きなサイズのフィルターが必要です。
実際、これが使用するレンズにあっていないとケラレが発生します。具体的には、フルサイズ換算で28mm未満の焦点距離で使用する場合は、ラージサイズが推奨されます。
実際のオンラインショップではこのように分類されていたりします。
御自身のどのレンズに装着するつもりなのかでHNDフィルターサイズは選んでください。28mm未満の超広角で使用するならラージサイズが推奨されます💡
~ここまでのまとめ~
お疲れ様です ^^
これでフィルター選びは完了です!
~レンズへの装着方法~
さて、これでHNDの種類は決まりました。次にあなたが選んだHNDフィルターをレンズに取り付けるための「アタッチメント」を選びましょう。
手持ちでレンズの前にかざして使用できますが、星の軌跡を撮影したい場合や風が強い場合などにはホルダーがあった方が便利です。
まず、オーソドックスな角型フィルターの装着方法を説明します。基本的に、HNDフィルターをレンズに装着するアタッチメントは、「フィルターホルダー」「アダプター」に分かれます。図示しますね。
<COKINの場合>
〜選び方!〜
ということで、そんなフィルターホルダーとアダプターの選び方を説明します!結構簡単ですから心配しないでください ^^
<(1) ホルダー>
すでにフィルターのサイズを決めているわけですから、それに合ったフィルターホルダーを選ぶだけです。例えば100mmフィルターを選んだなら、100mm用のホルダー。150mmフィルターを選んだなら150mm用のホルダーを購入すればいいのです。
<(2) アダプター>
ホルダーをレンズにくっつけるパーツです。大きく分けて、
・レンズ専用 (万力型)
・ねじ込み式
があります。
なぜ2種類あるのかというと、ねじ込み式ならフィルター径が合っていれば "原則的に" どんなレンズでも使用できます。一方、出目金レンズはそもそもネジ溝が切られていませんので、レンズ専用のアダプターが必要です。
NIKONでいえば、14-24mmや19mmのような出目金レンズには専用のアダプターがあり、14-24mmのホルダーをCANONの別の超広角レンズにも使うということはできませんので御注意ください。
具体例を提示します。下はKANIのHPからの引用ですが、レンズ別のアダプター (+ ホルダー) が売られていますので、出目金タイプでは専用のアダプターが必要になります。
※なお、"原則的に"と書いたのはあまりに独特な形状のレンズだとアダプターとレンズが干渉してハマらないからです。例えば、Carl Zeiss Distagon 15mmはフードがレンズと一体化していますし、Carl Zeiss Milvus or Distagon 21mm (通称エリンギ) は鏡胴がでかいのでNISIアダプターは装着できませんでした💦 レアケースですが、一応報告です。
※全てのメーカーが全てのレンズに対応したアダプターを扱っているわけではないので、出目金レンズの場合、使用したいレンズによってフィルターメーカーを決めざるを得ない場合もあるでしょう。
~どんなメーカーがあるの?~
実はそんなことすら、まとまったページを見たことがありません。
・COKIN
・LEE
・NISI
・KANI
・MARUMI (H&Y filter)
少なくとも日本での購入を考えるならこれらが代表的です。
いずれのメーカーも名称は違えど、スモール・ミディアム・ラージサイズなどのサイズに相当するHNDフィルターを取り揃えています。ただし、それぞれの会社で短辺長の規格や素材など微妙に違いますので表にまとめてみました (100mmサイズはだいたいどのメーカーも取り揃えているように思います)💡
※ちなみに素材はガラス製の方がフレアーやゴーストが出にくく高級とされています。
※どのメーカーもラージサイズはホルダーやアダプターを含めて品薄なので入手したい方は早めに購入した方が吉かもしれません。
※2019年9月追記:MARUMIはマグネット式でホルダーとフィルターをアタッチさせるシステムも発売しているようです。
~値段の目安は?~
HNDフィルターは高価です。サイズにも拠りますが、一枚の値段はミディアムサイズでも1-2万円、ラージサイズだと2-3万円は覚悟しないといけません。下手なレンズよりも高価ですよね ^^;
また、ホルダーやアダプターも2-3万円するものもあります。
ですので、そう簡単に導入できる機材ではないかもしれません💦
ただ、風景写真を撮影するとき非常に強い味方になってくれますので、今では私にとってHNDは風景撮影時の必需品になりつつあります。
~おすすめ品は?~
「おすすめは?」となるとどうしても主観的になるので、この項目は書こうかどうか悩みました。けれども少しでもフィルター選びの参考になればと思い記載してみました。意見の異なる方は気を悪くされないで下さいませ m(_ _)m
さて、さきほど書きました通り、HNDフィルターは高価な買い物なので沢山揃えるのは難しいかもしれません。個人的には「ノーマルタイプ・ND0.9・ソフト」がお勧めです。経験上、多くの場面で手堅く活躍してくれます。
ただ、朝日や夕日を真正面から減光しようと思うとND1.2の方がベターですし、花火撮影や車の軌跡くらいであればND0.6で十分な印象です。いずれにせよND0.9を基準に考えると選びやすいと思います。
メーカーは何とも言えませんが、LEEは高価な割に樹脂製でコーティングも甘く、ネット上で退色の指摘もあり、自分には合わないように感じました (個人の意見ですよ ^^;)。ただ、アダプターは安定感があってサイズにもゆとりがあるから気に入っています。
COKINはヨドバシカメラやビックカメラでもKENKOが仲介して販売しているので購入しやすいです。Nuances (extreme) シリーズは高価ですが、質は十分良いと思います。ただ、短辺長がラージサイズで130mmなので少し小さく、KANI・NISIとの互換性がないのが玉にきずです。
KANIやNISIはガラス製でコーティングにも拘っており非常にハイクォリティです。オンラインショップからでないと購入できませんが、お勧めできます。ただ、ホルダーやアダプターのシステムが若干煩雑なのが玉にきずでしょうか。特にNISIは従来のQシリーズと、円形フィルターも追加使用できるS5シリーズがあり、ちょっとややこしいかもです💦
ちなみに御参考までに私は、
・COKINフィルター + Cokinホルダー
・KANIフィルター + LEEホルダー
を使用しています。
~まとめです!~
<HNDフィルターの選び方>
・選びにくければノーマルタイプ、HND0.9、ソフトタイプがおすすめです。
<アタッチメントの選び方>
・ホルダーは御自身の選んだフィルターサイズに合わせて選んでください。
・アタッチメントは使用するレンズに合わせて選んでください。
・メーカーごとに以下のような特徴がありますので参考にしてください。
~おわりに~
長いまとめでしたね!読んで下さった方、お疲れさまでした。
ですが、自分がハーフNDを購入しようとした時にわからないことだらけで、長くても良いからこの位、会社の垣根を越えてまとまったページがあれば楽なのにとどれだけ思ったことか💦
そういう思いをしたので、長文ですが記事にまとめてみました。このエントリーがこれからHNDを初めて購入しようとしているかたの手助けになったら幸甚です。
最後になりますが、自分自身で何社かのフィルターやホルダーを使用してみた上で記事を書きましたが、私が勘違いしている点やコメントがございましたらコメント欄にお願いします。
それも含め、2019年対応版とうたったからには、適時情報更新していきます ^^
それでは今回はここで失礼いたします m(_ _)m
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~おまけ:ホルダーの互換性~
ちなみに、短辺の長さがあっていれば、HNDフィルターは基本的に厚み2mmなので他の会社のフィルターホルダーに装着できます。個人的にKANI製のHNDフィルターをNISIやLEEのフィルターに装着していますが問題ありませんでした ^^b
※ただ、NISIフィルターをKANIホルダーに装着するとホルダーの前面についているスポンジがめくれてしまうのでダメだという報告は聞いたことがあります。
〜関連リンク〜
HNDフィルターを実際に活用した写真を撮影した記事へのリンクです。
HNDフィルターの手持ち仕様の注意点はこちらをご覧下さい♫