Circulation - Camera

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カメラの豆知識 〜ミラーレス機と一眼レフ機のオートフォーカスの違い (ver.2018) ~

こんにちは、Circulation - Cameraです。

2018年8月23日にNIKONのフルサイズミラーレスの全貌が明らかになりましたね!

その名もZ6とZ7

f:id:tatsumo77:20180828185743p:plainNIKON HPより引用

ミラーレス機とは言え、フルサイズセンサー搭載機ですからどうしてもサイズはコンパクトとは言えないものになります。実際に、NIKONのZ6とZ7も600g強というまぁまぁな重量です。D850が1000g弱であったことを考えると間違いなく小型化されていますが、それでも軽量級カメラとはいいにくいかと思います。

しかし、小型軽量化はミラーレス化の利点の、ほんの一側面に過ぎません。他にも気になる点は沢山あります♪

新たなオートフォーカスの性能もその1つです。そこで今日は一眼レフやミラーレス機のオートフォーカスに着目して、整理してみたいと思います💡

どちらかというと初心者向け記事ですが、ちょっと小難しい内容かもしれませんので、興味のある方は時間のある時に読んでやって下さいませ m(_ _)m

 

~はじめに結論を~

結論から言いますと、2018年現在、一眼レフ機のオートフォーカス (以下、AF) は、位相差検出AFが主流です。これは非常に素早く動態撮影にも有利なAF方式です。これと同じ原理のAFをミラーレス機で実現するために、ミラーレス機では像面位相差検出方式をもっぱら採用しています

この説明がサクッと理解できる方には、物足りない記事かもしれません。しかし、「意味不明」という方も、今日の説明を読んで下されば、ご理解いただけると思います♪

それではよろしくお願いします!

(`・ω・´)b

 

 

~位相差検出AF~

さて、まずは位相差検AFの説明です。これは一眼レフ機のAF方式の主流です。これはレンズを通ってきた光の一部を「測距センサー」に通して、そこからどれだけピントが外れているか計算してAFを行う方法です。

分かりにくいですね (笑)

語彙力が足りない分、図で説明いたします。

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上の図の、カメラ下部の部屋だけを拡大してみます

f:id:tatsumo77:20180828214138p:plain

 

何となくわかります?

2つの測距センサーに光を誘って、それが理想的な位置になるようにAFレンズを駆動させるという方法です

もう一回、よりシンプル に図示して載せておきますね。

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~ライブビュー時のAF、遅くない?~

さて、この位相差検出AFは素早いのが特徴です。その反面、一眼レフを使用した方ならわかると思いますが、ライブビューで背面液晶を見ながらAFするとやたら遅くなりませんか??

これは、ライブビュー時には、この位相差検出AFができないからなのです。

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で、こういうときはどうやってAFをしているのかというと、コントラスト検出AFでAFをしています。コントラスト検出AFは、実際にレンズを前後に動かして一番コントラストが強くなる場所を検出する方法です。要はトライアンドエラーをするので遅いのです!

図示しますので見て下さい。

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要はピントが合う位置を頑張って探すのですから、先ほど説明した位相差検出AFに比べると遅いですよね。昔のカメラとかで、ジーコジーコ言いながらボケたりピントがあったりしながらAFしていましたよね

あんな感じです。ただ、位相差検出AFよりも更に正確性に優れると言われています (ただし、自分では検証したことがありませんが)。

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追記:この表は一般論であり、最近のコントラスト検出AFは以前に比べて格段に速くなっています。私の使用しているLeica Qもコントラスト検出方式ですが、実用上大きな問題のないレベルです。自分で記事を読み直した際に、「コントラスト検出AF=過去の遺物」という間違った印象を与え兼ねないと思い、追記いたしました。

 

 

~ここまでのまとめ~

・一眼レフ機は位相差検出AFを使用しており、素早いAFが可能です。

・しかし、ライブビューにすると位相差検出AFをする部屋に光を持ち込めないので、スピードに劣るコントラスト検出AFを使用することになります。

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~ミラーレス機は?~

ミラーレス機はレンズから侵入してきた光が直接撮像素子にぶつかりますので、一眼レフ機のライブビュー時の時と同様の光の通り方をします。そのため、位相差検出方式AFはできませんから、かつてはコントラスト検出方式が採用されてきました。

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コントラスト検出方式は上述のようにAFに比較的時間がかかりますから、ミラーレスは動きものに弱いと言われていた要因の一つですね。

しかし、今のミラーレス機のAFは非常に高速です!これは、像面位相差検出方式を採用することで実現しているのです。これが本日のキーワードです ( ..)φメモメモ

 

 

~像面位相差検出方式~

像面位相差検出方式は、測距センサーを撮像素子そのものに埋め込んでしまうという技術です。現在のミラーレス機のAFの主流となっている方式ですから、初耳学な方は知っておいて損はないかと思います♪

ある意味読んで字の如くですよね?像面 (撮像素子) で位相差検出AFをする方式なのですからね ^^b

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2010年以降、実用化されてきた技術で、名称はメーカーによって異なりますが、CANONのデュアルピクセルAFやSONYのハイブリッドAFも同じような発想に基づいています。

撮像素子で位相差検出AFをする。こうすることで、ミラーレス機でも位相差検出AFが可能になったのです!

(`・ω・´)b

 

 

~像面位相差検出方式の恩恵~

なにせ撮像素子全体にAF機能を持たせることができるのですから、AFエリアが広いのです!例えば、D850やD5のAFエリアと、新しいNIKONのフルサイズミラーレス機のAFエリアを比べて下さい。明らかにミラーレス機の方が広範なAFを可能にしていますよね (画面の90%をカバー!)。

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NIKON HPより引用

また、撮像素子そのものがAF機能をもっているので、顔認証や瞳認証が可能なわけです。今日最初に説明した一眼レフの方式では測距はできても顔の場所まで分かりませんよね (笑)

このように、像面位相差検出方式を搭載したミラーレス機は飛躍的にAF能力を高めてきました。もちろん一眼レフ機にも搭載することは理屈的には可能でしょうが、今のところそういう機種は無いのではないでしょうか?

※もしそういう機種を御存じの方がいらっしゃいましたら御指摘くださいませ ^^;

 

 

~像面位相差検出方式の課題~

ところで何故、像面位相差AFを一眼レフでは使用していないのか?

その理由の1つとしては画質の問題があります。撮像素子の (画素数の) 一部をAFに使用するので、AFに力を入れすぎれば写真の画素数が犠牲になるので当然ですよね。現にこれによる画質劣化を回避するためにNIKON D850は像面位相差AFは搭載していません。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/interview/1081951.html

ただし、この画質の低下に関しては日進月歩で改善しています。CANONのデュアルピクセルCMOSなどはその良い例です。近い将来に今以上に問題にならないようになるだろうと信じております。

 

 

~まとめです!~

一眼レフ機は位相差検出方式AFを使用しており、素早いAFを可能にしています。

・一眼レフ機のライブビューモードや、かつてのミラーレス機はコントラスト検出方式でしたから非常に低速なAFでした。

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現在のミラーレス機は像面位相差検出方式が主流です。結果、素早く正確なAFを可能にしています。また、撮像素子でAFをするのでAFエリアの拡大や、顔面認証・瞳AFなどさらなるAF機能向上も可能にしています

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~おわりに~

ということで、今日はカメラのAFについて説明してみました ^^b

像面位相差検出方式はミラーレス機にしか搭載できない機能ではありません。しかし、現時点ではミラーレス機を中心に使用されている方法論です。

ちなみに9月1日にCANONさんからも新しいフルサイズミラーレス機が発表になりましたね。個人的にはレンズラインナップが実に秀逸だと思ったので、NIKONさんにも頑張って欲しいです。

ますます、ヒートアップするフルサイズミラーレス業界!それに伴ってAF機能も、今後、まだまだ向上していきますから、今後の動向が気になりますね!

 

最後になりますが、もし私が勘違いしている点や、質問・言及がございましたらコメント欄にお願いします ^^

それでは、今日はこの辺で失礼致します m(_ _)m

 

 

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~おまけ①:像面位相差AF+コントラスト検出方式~

SONYのファストハイブリッド方式では大まかなAFを像面位相差でおこなって、さらなる精密AFをコントラスト検出方式で行い、「速さと正確さ」を両立しているようです。

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※引用:https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-9/feature_2.html

 

 

~おまけ②:アダプターに注意~

NIKONの新しいミラーレス一眼はZマウントという新たなマウントを採用しています。これに従来のFマウントレンズを使用するためのアダプターが発売されました。F to ZでFTZアダプターというものですね。

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で、このアダプター以下のような文言が書いてあります。

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これはどういうことか説明します。最近のほとんどのレンズは、「レンズ内に」AFを作動させるモーターが搭載されています。しかし、昔のレンズはレンズ内にモーターが入っていなくて、「ボディ内から」AFを駆動していたものがあります。

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ボディ内にモーターを搭載することはレンズの小型化に寄与するのですが、アダプターにはモーターがないので、こういったレンズのAFはアダプターを介すると使用できないということです。

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ということで、「AF-S, AF-P, AF-S」と記載されているNIKONレンズではないと、AFができませんのでご注意くださいという、AFにちなんだおまけ話でした ^^